ちびちび読む

下北沢の本屋さんのイベントで、著者にサインしてもらったのは、もう4年も前だった。ホンカク(本書く?)建築家、中村好文さんの書くものが本当に好きで、特別ゆったりした気持ちのときに、少しずつ、少しずつ読んでいる。 読んだ中で一番好きなのは『パン…

「悪いようにはしない」

気になっていた、川上未映子による村上春樹のインタビュー集を読了。気に入った言葉がふたつある。 そのうちのひとつが「どや、悪いようにはせんかったやろ」。 村上春樹が、自身に付いてくれている読者との信頼関係について語った言葉。 「ずっと悪いように…

『ガールズファイル』

柴崎友香の、本屋さんではあんまり見たことない本が図書館にあったので、早速借りてみることに。2005年前後に20代~30代前半だった女の人たちを主人公にした、前半インタビュー、後半短編小説、という造りの一冊だった。一番最初に柴崎友香を読んだときから…

みっしり

『光の犬』を読み終わった。 帯にあった「読後、しばらく黙っていたくなる小説だ」という言葉そのままの、静謐な余韻が続いている。 大阪にParis hという大好きなパン屋があって、中でもドライフルーツやナッツが詰まっている系のパンが本当に美味しいのだけ…

『光の犬』

数年前にあるブログで最初の作品『火山のふもとで』を知ってから、すっかり好きになった著者の新刊。前々作『沈むフランシス』で出てきた、北海道の架空の町「枝留(えだる)」がまた舞台になっていると知って、ゆっくり読みたいから、めったに買わない単行…

『歌に私は泣くだらう』

歌人である永田和宏が、妻であり歌人である河野裕子との、最後の日々を書いた本。同じく永田和宏が、妻との出会いからの日々を書いた『たとへば君』も凄かったけれど、 この本はそれに輪をかけて凄みがあるというか、全編にわたって切実というか。 涙なしに…

『優駿』

姉から借りて読み始めた本。馬の産地である北海道の日高地方と、主人公の馬主の住む関西を舞台にした物語。 まだ序盤だけど、北海道の景色が目の前に浮かんでくるようで、もうそれだけで胸が広々する。北海道にいつか住みたい、という長年の夢は、いつか叶う…

食卓に珈琲の匂い流れ

雨続きの秋の午後。 息子はぐっすりお昼寝中。ずぅっと前に買って時々パラパラ眺めては、温存していた『茨木のり子の家』を、なんとなく今かなという気がして取り出してみた。曇りガラスのような装丁が、秋雨の午後にぴったり。 なんとなく、「ちいさい秋み…

『あのこは貴族』

「東京にしかいない人種を描いた」というふれこみに惹かれて読んだ本。何ヵ月か前に日経の記事で、地方出身の作者が「東京に住んでみないとわからないことだった最たるものが、東京には貴族がいる、ということでした」と語っていたのを読んで、俄然興味が出…

『坂の途中の家』

保健師の知り合いに勧められて読んだ本。 読みごたえのある一冊だった。主人公は、乳児虐待事件に裁判員としてかかわることになった、小さい子を持つ主婦。 裁判経過に伴って自身の家族をふり返らざるを得なくなっていくのだけど、 そのふり返っていく過程の…

妊婦サウダーヂ

出産してからというもの、育児エッセイや育児漫画を読むのが趣味になった。最近読んだのは川上未映子の『きみは赤ちゃん』。初めて産婦人科で妊娠を確認してもらったときの気持ち。 妊婦検診の日々。 無痛分娩の、刻々の流れ。 産後しばらくの追い詰められた…

すたこらさ

一度ハマるとしばらく同じ人の本ばかり読む傾向があって、最近はずっと益田ミリづいている。味わい深い「すーちゃん」シリーズ。 第三弾の「どうしても嫌いな人」は、何とも言えず、ジワジワジワジワくる一冊だった。そうそう。 日常で避けられない嫌いな人…

a possible “I”

益田ミリの本が読みたくて。この作品の主人公は、35歳独身・彼氏なしのすーちゃん。 老後に不安を抱きながら、カフェ店長として楽しく働いている。そのままずっとすーちゃんの話かと思っていたらそうではなく、 すーちゃんの周りの、それぞれの事情を抱えた…