立川まんがぱーく

小学校が代休の月曜日。 夫が所用で、子どもたちを連れて泊まりがけで実家に行ってくれたので、前々から平日に行ってみたいと思っていた「立川まんがぱーく」へ。 低料金で入れる、まんがの図書館だ。 貸し出しはしていないので、長時間いられる平日を狙って…

聞くように読む古典

図書館で数ヶ月待ちだった予約本が回ってきた。 ミュージシャンでもある作家、町田康による『口訳 古事記』。『古事記』には学生の頃何度か挑戦してみたものの、数十ページも行かないうちに栞を挟んだまま開かなくなる...というのを繰り返していた。 しょっ…

ずっしり

すごい本だった。 久々に、読みごたえのあるノンフィクション。数年前に滋賀県であった、看護学生による母親殺害事件の話だ。 チラッと覚えていた気もするけれど、これを読むまでは、そんな壮絶な背景のある事件だったとは全く知らなかった。 三十年にも及ぶ…

人生にいつもあるとは限らないもの

何ヵ所かで見て気になっていた本が図書館にあったので借りてきた。 上田信治という人の『成分表』。 表紙がマヨネーズ。まだ読み始めたばかりなので分からないけれど、なんだか不思議な雰囲気のエッセイ集だ。 著者が俳人ということもあるのかもしれない。 …

ほしいものはなんですか

一週間が経って、再び訪れたお店で束の間のコーヒーブレイク。先週来た時にふと目に付いて読んでいた本を、先週の続きから今日は最後まで一気に読んだ。 好きな漫画家さんの作品なのに、十年以上前のものだったせいかあまり見かけなくて、これまで読んだこと…

図書館に通う習慣

小学生のときは、毎週土曜日図書館に通っていた。 最初のきっかけは何だったのか分からない。 母親が父親に本を読ませるよう言われたのかもしれないし、子どもたちがいる土曜の午後を母親が持て余したのかもしれない(たぶんそっちだと思う)。 とにかく母親…

潮風読書

『火山のふもとで』から始まり、『沈むフランシス』『優雅なのかどうか、わからない』『光の犬』と全作楽しみに読んできた、松家仁之の新刊。これまでの四作の舞台は、軽井沢、北海道、吉祥寺、北海道、だったから、今度も東京か北国かと思っていたら、意外…

魂のきれいな人

旅に行けない日々が続いている。 一年に二度くらい、いや一度でも、日常とは違うひらけた風景の中に行くことで、深々した呼吸を取り戻してきた私にとって、ここ最近はなんだかずっと、狭い水槽の中で口をパクパクしてる金魚みたいな気分だ。ずっと遠くのひら…

絵本をひらけば雪の日

今朝は起きたらすごい湿気で、耐えきれず朝からエアコン。 「涼しくしたから早く起きといでー」と長男に声をかけると、「きょうはまるちゃん、あついからまたよるゴロゴロしちゃったよー」と言いながらすんなり起きてきた。 最近長男は、シーツの冷たいとこ…

大阪ベイブルース

文芸誌に掲載されていたときから気になっていた本。柴崎友香と岸政彦、どちらも好きな書き手だしテーマはずばり「大阪」だし、絶対に外さないだろうと思って読んで、予想以上にストライクだった。 何か、いろいろな感情が喚起される本だった。大阪をテーマに…

思えばまともに練習したことがなかった

前々からやりたいと思っていたものを、先日ついに購入。ペン字の練習帳。 気に入った字の本がなかなかなくて、本屋さんを通りかかるたびにちょくちょく見ていたら、この間たまたま入った本屋のコーナーが充実していて、とりあえず悪くなさそうだったこれを一…

自分では見つけない本

夫とは読書の趣味がまったく違うのだけれど、先日夫が図書館で借りてきた本が、珍しく私の目に留まった。 「仮住まい」というタイトルに惹かれて目次をパラパラ見てみたら、なんだかとてもおもしろそう。 しかも10月に出たばかりの新刊。もうすぐ返却だとい…

普遍を写す

何年ぶりかに写真集を買った。 川内倫子さんの『as it is』。 彼女自身の出産から三年間の写真で構成された、川内倫子最新の写真集だ。見ていると、不思議なことに、写っている赤ちゃんが自分の子どもに見えてくる。 私の産んだあの赤ちゃんと、あのときの私…

品うすの台所

買い出しの回数を減らすようになって(と言っても、コロナのせいというより、妊娠して自転車に乗れなくなったので、外出ついでに済ませたり、生協の利用回数が増えたため)、買い出し前は冷蔵庫の中身がだんだんと乏しくなってくる。献立を予めきっちり決め…

お風呂の友

本棚の空きがあまりないので、ここ何年も、できるだけ厳選した本しか買わないようにしている。 図書館が休館して一ヶ月以上になるので、改めて家にある本を読み直してみるモードに入っている。最近は、お風呂に浸かりながら何かを読む時間が至福。 ほんの10…

京橋はええとこだっせ

図書館が休みになって貸し出し期限が延長され、期限内に読み終われそうになかった厚めの小説を無事読み終わることができた。 大阪は京橋が舞台の、京橋といえば大阪人なら誰もが口ずさんでしまう「グランシャトー」が舞台の、『グランドシャトー』。♪京橋は …

中国の花

数ヶ月に一度行く都心の病院へ。今年は暖かくて、気がついたら春先の大好きな花、ハクモクレンが散りつつあったのだけれど、ここではちょうど満開だった。今年もこの花の盛りをちゃんと見られてよかった。私がたぶん一番好きな作家である幸田文の随筆に、木…

飢餓気分

ひょんなことから知った、吉村昭の『破獄』を読んでいる。吉村昭は一冊だけ『羆嵐(くまあらし)』を読んだことがあって、めちゃくちゃ面白かったのだけど、『破獄』もなかなか面白い。 太平洋戦争前後に実在した脱獄囚を描いた小説で、当時の刑務所事情が描…

川上未映子のこと

川上未映子の最新刊『夏物語』を読み終わった。 ページ数もあるけれど、内容的にも、すごく読みごたえのある一冊だった。 川上未映子の小説は他にもいくつか読んだことがあって、中には不思議なくらい私の記憶に残らないものもあったのだけれど、『夏物語』…

読み終えないと落ち着かない

時々書評とかインタビューを見かけて気になっていた、姫野カオルコ『謎の毒親』。 図書館で見かけたので借りてきて読み始めたら、止まらなくなって、一気に最後まで。そうだった。 姫野カオルコの本はいつも、読み始めたら他のことが気もそぞろになるくらい…

さばいてみたい

例年になく梅雨らしい雨続きに加え、外壁工事の足場で室内も暗く、ちょっと鬱々とした毎日。そんな中、たまたま図書館で見つけた新刊『サカナ・レッスン』を借りて読んだら、なんかちょっとスカッとした気分になった。前作『ダメ女たちの人生を変えた奇跡の…

道を覚えるにはナビを使わないことも必要だ

図書館で数ヶ月待ちの本がやっと回ってきた。タイトルを見たときに、それそれ!と気になってすぐ予約した『レシピを見ないで作れるようになりましょう』。「はじめに」を読んで、うんうん、そうなんだよねぇ!と膝を打った。 レシピは道案内のナビゲーション…

山岳小説

愛読する作家、松家仁之の推薦コメントで知った『帰れない山』を読了。北イタリアの山岳地帯を舞台に、少年たちの友情を描いた長編小説。 どことなく「北の国から」を思い出させる部分もあったりする、好みの内容だった。受験勉強をしていた中で、よく国語の…

ひさびさカオルコ

2,3前にあった東大生による集団強制わいせつ事件から着想したという、姫野カオルコの新刊を読了。あくまでも「着想」なので、ノンフィクションではなく小説ではあるんだけど、加害者の背景とかがそこそこリアルで、かなり読みごたえのある一冊だった。裸の被…

乾いた雪の降るところ

このところ、一番好きな作家と言ってもいいかもしれない松家仁之(まついえまさし)。前に一度読んだ『沈むフランシス』を、また読み返したくなって読んでいる。35歳の主人公桂子が、東京の大きな会社を辞めて北海道の小さな村に移り住む、その経緯を描写し…

ちびちび読む

下北沢の本屋さんのイベントで、著者にサインしてもらったのは、もう4年も前だった。ホンカク(本書く?)建築家、中村好文さんの書くものが本当に好きで、特別ゆったりした気持ちのときに、少しずつ、少しずつ読んでいる。 読んだ中で一番好きなのは『パン…

「悪いようにはしない」

気になっていた、川上未映子による村上春樹のインタビュー集を読了。気に入った言葉がふたつある。 そのうちのひとつが「どや、悪いようにはせんかったやろ」。 村上春樹が、自身に付いてくれている読者との信頼関係について語った言葉。 「ずっと悪いように…

『ガールズファイル』

柴崎友香の、本屋さんではあんまり見たことない本が図書館にあったので、早速借りてみることに。2005年前後に20代~30代前半だった女の人たちを主人公にした、前半インタビュー、後半短編小説、という造りの一冊だった。一番最初に柴崎友香を読んだときから…

みっしり

『光の犬』を読み終わった。 帯にあった「読後、しばらく黙っていたくなる小説だ」という言葉そのままの、静謐な余韻が続いている。 大阪にParis hという大好きなパン屋があって、中でもドライフルーツやナッツが詰まっている系のパンが本当に美味しいのだけ…

『光の犬』

数年前にあるブログで最初の作品『火山のふもとで』を知ってから、すっかり好きになった著者の新刊。前々作『沈むフランシス』で出てきた、北海道の架空の町「枝留(えだる)」がまた舞台になっていると知って、ゆっくり読みたいから、めったに買わない単行…