妊婦サウダーヂ

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出産してからというもの、育児エッセイや育児漫画を読むのが趣味になった。

最近読んだのは川上未映子の『きみは赤ちゃん』。

初めて産婦人科で妊娠を確認してもらったときの気持ち。
妊婦検診の日々。
無痛分娩の、刻々の流れ。
産後しばらくの追い詰められたような毎日。
産後、今しかない子どもとの時間や稼いだお金を遣って、子どもを預けて働くことの意味。

自分と同じ年頃に、同じ土地で育った川上未映子の言語感覚や文体は、私にとっては細かなところまで(たとえば音読したときのイントネーションまで)分かる、という感じがあって、共感しきりだった。

読んだ後、なぜかまた妊婦に戻りたくなった。
ひととおり経験した今の状態で、もう一度あの生活をしみじみ味わってみたい。

「妊婦に戻りたい」っていう欲求がこの世にあるなんて、今まで思ってもみなかった。