ほっかいどうのおかし

大好きな六花亭が、お得な送料でお菓子の詰め合わせを送ってくれると知ったのは7月のこと。
ちょうどその7月のセットに保冷バッグのおまけがついてくるというので、これは!といそいそ申し込んだ。

ただし大人気で届くのは9月。
その、待ちに待った保冷バッグつき詰め合わせセットが、先日やっと届いた。

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ハァ~、北海道が詰まってる。

保冷バッグは牛乳パック3本が入る縦長のもので、可愛い割に頼もしいサイズなので、さっそく日々のお買い物に使っている。
保冷バッグは他にももちろんあるけれど、やっぱり持ってて嬉しいものがいいもんね。

おやつの方は、一日多くても一個ずつ、息子と楽しく選びながら食べている。
息子は幼稚園バスから降りてくると「きょうのおやつはー、ほっかいどうのおかしにする!」と嬉しそう。

いつか、六花亭の喫茶室に連れていってあげたいな~。

頭から湯気

仕事で必要になった、ある講習会へ。
無料なのはありがたいけど、お知らせが来たのが直前で、急いで一時保育を予約。
朝からバタバタ準備して、長男を送り出し、次男を一時保育に連れていき、講習会を受け、次男お迎えまでの小一時間、ようやくひと息。

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こんなにもついて行くのが大変なレクチャーは、大学の理系の授業以来だった。
会計関係の内容で、数字が全然ダメな私としては最初からあまり理解できる気がしなかったのだけれど、案の定、途中で何度も「えっ、なんてなんて?もう一回言って?」という場面が続出した。
もちろんレクチャーはそのまま進んで行くから、完全に置いてきぼり。
とりあえず話題が変わるまで放心するしかなく、次の項目になったら急いで気を取り直して聞き耳を立てる...というのを3時間繰り返したのだった。

あぁ、疲れた...。

帰ってから(その分野に関してはそこそこ詳しい)夫に「途中から講師の言葉が、最近ふくちゃん(次男)がしゃべる宇宙語みたいに聞こえた」とひとしきり話。
夫いわく「その内容を無料でって相当お得だよ。普通なら1コマ10,000~15,000円、3時間なら20,000~30,000円してもおかしくない」。
まぁ私もそれには同意するけど、とにかく難しかったんだよ...。

講習会はあともう一回、それが終わったらあとは自力で何とかするしかない。
夫が「有料ならやるで(←関西弁変換)」と言ってきたので、「いつでも質問可・自作のソフトも使い放題・かつ成果報酬型」の有料プランで契約しておいた(夫と)。

どうなることやら。。

尊い日常

長い夏休みが終わり、長男を見送って次男とまったり過ごす午前中が戻ってきた。
バス停から帰ると次男に離乳食を作って食べさせ、おなかが満たされてご機嫌になった次男を赤ちゃんコーナーに転がし、私はカフェオレを飲んでひと息。
朝つけたチャンネルのままになっているJ-WAVEを聴きながら、「あぁ、また日常の生活が始まった」と思う。
そう思える日常があることの、ありがたみを噛みしめながら。

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いろんな国があることを知り始めた長男のために、夏休みも終わる頃、百均で世界地図を買ってきて壁に貼り付けた。
まだ字が読めない(けどマークとかはめちゃくちゃ覚える)長男が分かるよう、国旗を切り取ってペタペタ。
なんとなくでも、「自分が今いるのがここで、世界はこんなにも広くて多くの国がある」ということを感じ取ってもらえたらいいな、と思っている。

世界がまだまだ遠い日々だけれど、いつかの日のために、大人も行きたい国の想像を膨らませている。

去りゆく8月

なかなか出かけられず、どうなることかと思った夏休みもついに最終日。
ちょこちょこ近場に出かけたり、家でシャボン玉をしたり、たまった録画を一緒に見まくったり、幼稚園の夏期保育を利用したりして、意外となんとかなった...というのが最終日の感想。

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明日からは幼稚園。
一番危ないと言われている子どもたちの集団、かなり心配ではある。
うちでは私も夫も二回のワクチン接種を済ませ、抗体ができる期間もなんとか新学期開始までに間に合った。
これまでは自分が感染することを一番恐れていたけど(子どもたちのお世話ができなくなるから)、接種を済ませた今は、子ども自身が感染しないかが一番心配。
様子を見つつ、休ませられる日は休ませて、自主分散登園もありかな...なんて思っている、8月最終日。

台湾行きたい

出先でお昼ごはんのタイミングになり、どこかないかなと探していたら、いつもよく行列ができているお店が珍しくガラガラだったので、ためしに入ってみることにした。
メニューを見てみたら、台湾料理と甘味のお店。
見ていたら急に小籠包が食べたくなって、点心付きのセットにした。

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おいしい。
そして、懐かしい。
もう何年も前、最後に行った海外旅行がそういえば台湾だったのだ。
独身時代最後の海外旅行でもあった。

当時勤めていた職場は夏休みが長く自由に取れる職場で、一週間弱の休みを取って台湾を満喫した。
アジア圏の海外に行くのは確か初めてで、沖縄に行くぐらいの感覚で海外に行けるのがとっても楽だった。
その年は海外に行くつもりがなかったのに思い立って急に決めた旅だったから、とにかく楽しくて行きの飛行機でテンションが上がっていたのを思い出す。

台湾は、お茶とマンゴーかき氷とパイナップルケーキがおいしかった。
ごはんもおいしかったけど、お茶と甘いものの方が記憶に残っている。
あとはやっぱり、小籠包。
帰ってからもしばらくハマッて、都内で小籠包が食べられるお店を探しては食べ歩いていた。

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ランチの後、隣の親子が食べていたデザートがとってもおいしそうだったから、ちょっと迷ったけど私も追加。
初めて食べる豆花(トウファ)だった。

もう一回台湾に行く機会があったら、次は雑貨をいろいろ見たい。
籠とかセイロ、あと涼しそうな生地の服とか、布とか。
写真映えする風景も多かったし、カメラ好き雑貨好きの女子たちと行きたいなぁ...。

旅に出れず、夢は世界をかけめぐる。

潮風読書

『火山のふもとで』から始まり、『沈むフランシス』『優雅なのかどうか、わからない』『光の犬』と全作楽しみに読んできた、松家仁之の新刊。

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これまでの四作の舞台は、軽井沢、北海道、吉祥寺、北海道、だったから、今度も東京か北国かと思っていたら、意外や意外、和歌山だった。

舞台は、東京から西に700kmほど行った、太平洋に面した温泉と海水浴場のある町。
初めは四国かなと思ったのだけれど、出てくる言葉が関西なので、和歌山だと分かった。
温泉と海水浴場だから、モデルはまず間違いなく白浜だろう。
主人公の高校生がそこで過ごしたひと夏が、彼を預かった大叔父の過去~現在と共に描かれる。
読み終わる頃には、自分もひと夏をそこで過ごしたような、海風に晒された日焼けの跡が残ったような気持ちになった。

私にとっては特に、主人公の高校生よりも、白浜という土地や、描かれた大叔父の過去が印象深かった。
関西の人にとっての白浜は、関東の人にとっての、館山とか伊東とかに当たると思う。
都心からのアクセスがあまり良くなくて、ちょっと鄙びた太平洋岸の保養地。
私も子どもの頃を含め何度か行ったし、アルバムに残っているたぶん最初の家族旅行は白浜だった。

若い頃に世話になった人が、和歌山に縁のある人だった。
とても変わった苗字をしていて、聞けば和歌山に少し似た地名があり、彼の父親は和歌山出身で彼の本籍地も和歌山だったそうだ。
お父さんが彼の年齢の割にはとても年をとっている人で、それはなぜかというと、実は父親はシベリア抑留から帰ってきた人だからなのだ、と話してくれたことがあった。

もうほとんど思い出すこともなかったその人のことをふいに思い出したのは、この本に出てくる大叔父が、シベリア抑留者として描かれていたからだ。
昔世話になったその人が一度何かの折に話していたところによると、彼の父親が年を取っているのは、おそらく彼の母親と結婚する前に一度別の結婚をしていて、シベリア抑留から帰った後に、だいぶ年下だった彼の母親と再婚したからなのだという。
そのときはシベリア抑留のことなんて何も知らなかったから「ふ~ん...」としか思わなかったけれど、今回この本を読んで、いろんな断片がつながった気がした。
と同時に、シベリア抑留について自分が何も知らなかったこと、直接知っている人の父親が当事者だったのに、全く興味を持たなかったことを、とても残念に思った。

四十代になって思うのは、子どもの頃「それってめちゃくちゃ昔の話でしょ」と思っていたようなことは、大人にとっては「つい最近の話」だったということだ。
たとえば、私の子どもたちにとってはもはや「教科書に書かれているような昔の出来事」だろう、アメリ同時多発テロ阪神大震災、「平成」の年号発表や消費税導入は、私にとっては完全にリアルタイムでの出来事だった。
「20年前」とか「30年前」という言葉の響きには、自分が子どもだった頃母親が「TVが出てきた頃はみんなで近所の家に見に行った」とか「ケネディ大統領が暗殺されたニュースを見ていた」と言っていた時ぐらいの時代がかり感があって、どうしても「20年とか30年前ってめちゃくちゃ昔の話でしょ」と思ってしまう。
でも、この間たまたま恐竜にハマッている息子に「ジュラシック・パーク」を見せてあげようと調べたら、それが30年近く前の映画だと分かって、夫と愕然としたのだ。
本当に、二人とも完全に計算間違いだと思ったもの。

そう思うと、まだ生きている人がいる限り、その体験は全然「昔」じゃないのかもしれない。
戦争も、シベリア抑留も。
数年前かなりの高齢で亡くなった祖母も、戦争体験者だった。
そういう人が生きている間に、もっと関心を持って、話を聞かせてもらえば良かったと思うけれど、結局のところ、昔のことに関心が出てくるのはある程度年を取ってからなんだよなぁ、とも思う。

小説の中の白浜は、昭和の白浜だった。
今はどんな感じになってるんだろう。
和歌山、今けっこう行きたい場所リスト上の方だったりしている。

魂のきれいな人

旅に行けない日々が続いている。
一年に二度くらい、いや一度でも、日常とは違うひらけた風景の中に行くことで、深々した呼吸を取り戻してきた私にとって、ここ最近はなんだかずっと、狭い水槽の中で口をパクパクしてる金魚みたいな気分だ。

ずっと遠くのひらけた風景を見たくなって、しばらく置いていた写真集をまた開き始めた。
去年の秋、わざわざ電車を乗り継いで写真展を見に行った、大竹英洋さんの写真集だ。
写真展の場にたまたま大竹さん本人がいらして、その場でサインまでしてもらったのだ。
2020秋、六本木 - 珈琲とsofaのあるところ

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写真集を買ったのは、展示された写真があまりにも素晴らしかったから。
いったんは買わずに会場を後にしたのだけれど、やっぱりあの写真の数々をゆっくり見返したい...とわざわざ引き返して買った。
そのあとすぐ、図書館で大竹さんの著書を借りてきてワクワクしながら一気に読んだら、やっぱり写真集を買って正解だったと思った。
著書を読んだ後で写真集を見返すと、その一枚一枚の背景にあるエピソードや物語がさらに力強く感じられて、グッと心に迫ってくるのだ。

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一気に見るのが惜しくて数ヶ月寝かせておいた写真集を改めて開くと、一年近く経った今でも、あの大きなパネルで作品を見たときの感動が蘇ってきて、うわ~...!となった。
写真展ではかなりの数の大きな作品が展示されていたから、会場全体が北極圏の自然に包まれたようで、写真を見ながらなんだか涙が出てきたのを覚えている。
それもそのはず、著書を読むと、あの作品群は約20年に及ぶものすごい熱量の賜物なのだ。

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北米大陸の北緯45度から60度に広がる広大な森林地帯「ノースウッズ」で、厳しい自然の中を旅しながら撮られた動物や植物たち。
鼻から入る冷たい空気や、氷の割れる音までが写っていると思う。

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写真集の冒頭付近に、大竹さんの師匠である写真家ジム・ブランデンバーグによる文章があって、そこに「忍耐と、根気強さと、礼儀ただしさ。それがヒデヒロのきわだった特質だった」とある。
写真展の会場で数分お話しただけの私にも、これはとても納得のいく一文だ。
関係者でも何でもない、一介の観客だった私に自ら声をかけてくださった大竹さんは、私の拙い質問にもひとつひとつすごく丁寧に考えて、しっかり目を見て答えてくれた。
その目力とか、全身から発する生命力は、深く印象に残っている。

その後著書を読んで、あぁ、この人は「魂のきれいな人だ」と思った。
そうとしか表現できない人に、これまでにも何度か出会ったことがある。
まっすぐ、とも似ているけれど、接していて「濁りがない」というか。
深いところで自分自身をごまかさずに生きてきた人、という感じ。
彼が写真家になるきっかけになったのが、大学生のときに見たひとつの印象深い夢だった、ということからもそれが分かる。
その夢自体が、もう素晴らしいのだけれど。

写真展を見た数ヶ月後、大竹さんがこの写真集で第40回土門拳賞に選ばれたことをニュースで知った。
おめでとうございますという言葉では全然足りないくらい、嬉しいニュースだった。