キラキラの音

終了間近の「東山魁夷展」を見に、久しぶりの国立新美術館

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会期の終わり近くなので平日でもけっこう混んでいて、観客の年齢層が高めなのが印象的だった。

大学の一般教養で、「美術館の客層をリサーチする」という社会学のレポート課題が出たのを思い出した。
それを調べて一体何の面白味があるんだろう...?と思いつつ、たまたまその時期にやっていたエミール・ガレの展覧会のリサーチに行ったのを覚えている。

それはさておき。

今回の東山魁夷展は圧倒的な作品数で、それだけでもわざわざ行って見る価値があった。
北欧の自然にシンパシーを感じて描いたというところに、シンパシーを感じる。

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京都や北欧を描いた東山魁夷は、北海道の自然には関心を持たなかったんだろうか。
美瑛の「青い池」なんか、そのまま東山魁夷の絵のような気がするけれど。

長いこと立ち止まって見ていた一枚。

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見ているうちにふと、自分が北海道に行きたいと思った、いちばん初めのきっかけのようなものを思い出した。

「ダイヤモンド・ダスト」を見てみたい、と思ったのだった。

小学生の頃、たまたま見ていた二時間サスペンスドラマで知った自然現象。
ものすごく寒い朝に、空気中の水蒸気が一瞬で凍った結晶が、日光を受けてキラキラ光る。
空気の澄んだところで、風のないときにしか見られないというそれを、一度でいいから自分の目で見てみたいと強く思った。
日本では北海道でしか見られないと、その二時間ドラマでは言っていたのだった。

何年か前、3月のフィンランドに行ったとき、ダイヤモンド・ダストかもしれないものに、ヘルシンキで遭遇したことがある。
昔から憧れていたあれを、今ついに見ているのかも!とドキドキしたけれど、
それは早朝ではなかったし、周りに誰も聞ける人がいなかったから、そうだったのかどうかはいまだにわからない。
気温はマイナス10℃くらいで、風のない、たしか午前10時頃だった。

いつか、切れそうに寒い空気の中、ダイヤモンド・ダストを見てみたい。
願わくばその音も聞いてみたい。
想像している通りの音かどうか、確かめてみたい。