新宿区といえば、都会の真ん中というイメージ。
その新宿区の中に山があるということを、柴崎友香の小説『千の扉』で知った。
ちょうどその近くに用事があり、ちょうど時間もあったので、かねてから歩いてみたいと思っていたその「箱根山」に、行ってみることにした。
そこは本当に「山」だった。
大きな道路からほんの5分ほど歩いただけのところから濃厚な山の匂いが漂い始め、新宿区とは思えないような草の生い茂る歩道を行くと、「箱根山→」と書かれた道標が現れる。
それに従って登っていくと、小高い丘のような山があり、急な階段を上るとちょっとしたスペースがあるのだった。
かなりの高低差。
下に、園児がいるのか分からない(たぶんいるんだろう)幼稚園と、その隣にもう使われていない廃墟のような教会があった。
晴れた日の昼間だったけれど、その辺り一帯に人はおらず、ポツンと彼岸花が咲いていた。
箱根山を下りて5分も歩かないうちに、一大団地が見えてくる。
『千の扉』はこの風景のこと。
まだまだまだまだ、知らない東京がいっぱいある。