京橋はええとこだっせ

図書館が休みになって貸し出し期限が延長され、期限内に読み終われそうになかった厚めの小説を無事読み終わることができた。
大阪は京橋が舞台の、京橋といえば大阪人なら誰もが口ずさんでしまう「グランシャトー」が舞台の、『グランドシャトー』。

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♪京橋は ええとこだっせ
グランシャトーが おまっせ♪

のCMソングでおなじみの、グランシャトー
私にとっては古ぼけたサウナのイメージしかなかったグランシャトーだけど、
高度経済成長期に一世を風靡したキャバレーであったとは、この本を読むまで知らなかった。

舞台は実在のグランシャトーとはいえ、内容は創作。
架空のキャバレー「グランドシャトー」でナンバー2の地位にあった主人公のホステスを中心に、昭和30年代から平成の大阪が描かれている。
ホステスが主人公というと、なんとなくうらぶれた暗~い話を想像してしまうのだけれど、これは読後感さわやかな、人情味あふれるいいお話だった。
大阪の、戦前からの街の成り立ちが見えてくるのも興味深い。

関西にいた頃、大阪から京都に行くときはよく京阪電車を利用していた。
電車が京橋の駅を出てすぐのところに、高架と同じぐらいの高さから一瞬おじさんの裸の背中が見えて、ギョッとしたことがあった。
あれはなんだ...!と次に乗ったときに確認したら、それがかの有名なグランシャトー(のサウナ部分)なのだった。
たまたま窓が開いているときがあったのだ。

本を読み終わってしばらくグランシャトーのCMソングが頭から離れず、無意識に口笛で吹いていたら、息子がふと顔を上げて「ママー、それ、おまつりのうた?」と聞くので噴き出してしまった。
たしかにお祭りみたいな陽気なメロディだね(笑)