衛生観念

コロナな日々でも(だからこそ?)、息抜きは必要。

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妊婦検診のついでに、お気に入りのカフェでひと息ついた。
席数を減らしての営業で、2mの距離は確保されている。
定期的に換気もされ、お客が帰った後のテーブルはアルコールスプレーできれいに拭かれ、安心して寛げるお店なのだった。

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今回の騒ぎで、「家庭内衛生観念問題」が表面化している家も多いのではないかという気がする。
(「家庭内衛生観念問題」とは...一緒に暮らす人々の間で衛生観念にズレがある場合、互いにどこまで譲歩できるかという問題。また、衛生観念の低い側が、ウィルスや細菌でなく「自分自身を」汚い扱いされているような気がして不快に思い、諍いが生じる問題。)

どんなに仲の良い相手でも、一緒に暮らすとなると、衛生観念のズレが大きければなかなか厳しいものがあると思う。
これまでも、「この人と一緒に暮らせるか」を考えたときに、相手の衛生観念が低すぎて絶対無理、という場合もあれば、逆に相手が潔癖すぎたり相手の気になるポイントが違っていたりして、こっちがしんどくなる場合もあった。
私はどちらかというと潔癖な方で、相手をうんざりさせることの方が多いけど、そのときに困るのは「菌を憎んで人を憎まず」がなかなか分かってもらえず、相手をバイ菌扱いしているように取られてしまうことなのだった。
心情的に「汚なそう」というのではなく、論理的に考えて「これだとまずいでしょ?」というのを共有したいのだけれど、それがなかなか通じない。

夫はこの傾向が強い。
たとえば、手や顔を洗うときの石鹸の量の少なさに私が驚いて(ほとんど水だけで洗っている感じ)、それを指摘すると不機嫌になる。
しかも、その後手や顔をタオルで強く拭うように拭くので、タオルにだんだん茶色い染みができて取れなくなり、「ちゃんと石鹸でしっかり洗って水だけ拭き取るようにしたら、こんなにはならないんだよ」と説明しても、「じゃあこのタオルはもう俺だけが使うから」(←そういう問題じゃない)と不機嫌になって、改善されない。
他にも、夫から水虫をうつされたことがあって(夫が足繁くプールに通っていた時期なので間違いない)、私が皮膚科通いせざるを得なくなり、そのときから足拭きマットを分けたのだけど、最初は自分がバイ菌扱いされていると思って不機嫌だったし、そもそも以前から夫の爪白癬を疑って指摘し続けてもいたけど、「痒くないから違う」と言って否定し続けていた(爪白癬は痒くないと説明してるのに!)。

それでも、言い続けて少しずつ改善されてきた部分はある。
水虫問題も、「家族も一緒に治療しないと意味ないって皮膚科でも言われてるから」と言い続けて、やっと自分も薬をつけるようになり、別々の足拭きマットも定着した。
他にも、「外で地面に置いた鞄を家の中に置いたら、土足で家に入ってるのと同じだから。家の中に置くなら雑巾で拭くか、玄関先だけに置いて」と言い続けていたのだけれど、新生児との生活が始まった頃から、鞄を地面に置くこと自体がなくなった。

そして、今回のコロナ問題。
ある日帰宅した夫が、元気なく、「なんか夕方から体がだるい...」と言い出した。
時期が時期(しかも私は妊婦)なので、家の中は急に緊迫。
その夜から、夫が自ら衛生レベルをグッと上げてきた。
手洗いは以前の5倍ぐらい念入りになり、タオルも自ら分けた(バイ菌扱いされて不機嫌になっていた時とは別人!)。
歯磨き粉も自ら別に。
就寝時は夫だけ布団を別室に敷き、起きた後は夫自ら部屋の大換気。
帰宅時も、夫に駆け寄る息子を自ら制し「手洗って着替えてからね」と触らない。

そこまでやってくれたら、ひとまずこちらから言うことはない。
「そこまで変われるか...」という気持ちが「やればできるやないの」と言いたい気持ちを上回り、大変満足な私。
夫も、言われてやったのでなく自ら提案してやっているので、不機嫌になることもなく、むしろ積極的に実践している。
(ちなみにその後はだるさも回復、発熱も嗅覚異常もないので、ただの疲れだった可能性が高い。)

思うに、衛生観念というのは「習慣」だと思う。
手洗いも、鞄を地面に置かないのも。
「男の人は汚い」とかよく言うけれど、それは単に「習慣」「育てられ方」の問題で、これまで「男の子は多少汚れてても気にしないでいい」とか「豪快に(たとえば手や周りを汚しながら)食べるのが男らしい」とか言われ続けてた人が、習慣になっていないことを急に強制されるから「面倒さ」が勝ってしまうのだ。

だから、息子を育てるにあたって、そこは「習慣」化されるようにしてあげたい。
願わくば、夫もコロナを機に、今の衛生観念レベルを維持してほしい。
何でもかんでも除菌、というのは逆に危険だと思うけれど、論理的に考えて「これだとまずいでしょ?」という感覚を共有できれば、家庭内衛生観念問題は大きく一歩前に進むと思う。