裁縫箱の小宇宙

去年の暮れ頃から幼稚園グッズを作り始め、それを機にソーイング熱が高まった私。
以前から裁縫用品をまとめていた箱が溢れがちだったところへ、グッズが少しずつ増えてきて、もう少し大きな入れ物に機能的に収納したいなぁ...と思っていた。

そこで思いついたのが、結婚記念日にかこつけて木製のソーイングボックスを買う、ということ。
ちょうど今年は結婚して五年。
五年目の結婚記念日は木婚式というらしく、木製品で何かリクエストしようと思っていたので、少し高めではあったけれど、実用品なので夫も納得するだろうとリクエストしてみたのだった。

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栗の木でできたソーイングボックス。
結婚記念日は秋なのでそれまで待とうかと思ったけれど、収納がいよいよカオスになってきたので、早めに注文することにした。

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上の小物コーナーは取り外しできて、下には仕切りのない大きめの空間がある。
実は全部は収まらなかったのだけれど(笑)、少なくとも普通の裁縫用品(刺繍とか編み物系以外)はここにひとつにまとめられたので、それだけでも大分すっきりした。

小さい頃、母親の裁縫箱を眺めるのがやたら好きな子どもだった。
普段は忘れているのだけれど、時々「そうだ、あれやろう!」と思い出しては母親の裁縫箱を取り出し、中を眺めてただうっとりしていた。
針山に刺さった色とりどりのまち針や、小さな糸切りバサミ、指ぬきやゴム通し、チャコや目打ちといった細々した道具。
中でも、いろんな色や形のボタンが入った透明の瓶は何度ひっくり返して眺めても飽きなかった。

裁縫箱の中を眺めていると、どこかの町のジオラマを見ているような気持ちになった。
山があり、神社があり、商店や家々があり、田畑があり、川があって海に注ぐ、小さな町のジオラマ

そういえば、小学校低学年の頃誕生日にリクエストしたプレゼントも、自分用の裁縫箱だった。
裁縫が好きだったというよりも、あの小さな町のような箱が、自分専用に欲しかったのだ。
それからまもなく家庭科で裁縫箱を一斉購入することになって、誕生日プレゼントの裁縫箱はいつしか使わなくなってしまったのだけれど。

新しい私の裁縫箱は、久しぶりにあの小宇宙を思い出させてくれた。
これから何年かかけて、道具も少しずつ好きなものに替えて、眺めているだけでワクワクする宝箱に育てていきたい。