成就

独身時代に旅行した長野の松本で見かけて、その可愛さに思わず買った「松本だるま」。
眉毛とほっぺ(頬ひげ?)が特徴の、とても可愛い顔をしている。

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結婚してしばらくして、初めての子どもが産まれた後、ふと思いついて片目を入れた。
もう片方の目は、もう一人子どもが産まれたら入れるつもりで。

妊娠中だったか、息子がそのだるまに目を留めて「なんでおめめがひとつしかないの?」と訊くので、「赤ちゃんが産まれたらもうひとつを描くんだよ」と教えてあげた。
そうしたらそれを覚えていて、赤ちゃんを連れ帰った日にさっそく息子が「おめめかかないの?」と言ってきたのだった。

とうとう両目が入るときが来た。

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ここへ来るまでに、産まれなかった子が一人いた。
とっても初期だったから、仕方ないと思う気持ちもあるし、実際仕方なかったと思う。

だけど私だけは、その子のことを覚えていてあげたい。
夫はきっと、二人目が無事に産まれたことで、いつしかあまり思い出さなくなるだろう。
それはそれで仕方ない。生きている子に気持ちがいくのは自然なことだから。
だけど私まで忘れてしまったら、その子はいなかったことになってしまう。
本当に短い間だったけど、私の中でチクチク動いていた心臓があった。
魚みたいな形の、小さな命があった。
エコー写真にしか残っていないけれど、その子は確かに生きていた。

無事に産まれた二人目の子は、その子の分も大事に育ててあげたい。
産まれなかった子のことも、時々思い出しながら育ててあげたい。
ママだけは、忘れないからね。