出産ふりかえり 産後5日(退院)

退院の日。
外は朝から快晴で、気温を確かめるために窓を細く開けたら、開けた途端ムワッとした熱気が入ってくるほどの猛暑だった。

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最後の朝ごはん。
入院したその日の朝ごはんから病院で食べたから、五泊六日の入院で、おやつも入れて21食を食べたことになった。

赤ちゃんの黄疸値の最終確認がこの日の昼頃出るので、それを待っての退院。
個室なので、荷造りした後もゆっくり待機できるのがありがたかった。
もう使うことのないだろう産科病棟の、新しい個室を名残惜しんで、あちこちの写真を撮った。

赤ちゃんの検査結果も問題ないことが分かり、お昼過ぎに退院手続き書類ができてきて、14時頃に夫と息子が病院に到着。
約一週間ぶりに息子に会うときは、いきなり赤ちゃん連れでなくまずは純粋にママとだけ対面させてあげたかったので、赤ちゃんをナースステーションに預けたまま、荷物だけ持って私一人で息子たちの待つ外来棟へ向かった。
コロナのため、退院時のお迎えですら、夫も息子も病棟には上がって来られないのだ。

大きなゴロゴロを引いて待ち合わせのベンチに向かうと、息子と夫の後ろ姿が見えた。
しばし立ち止まって眺めていると、息子がこちらに気づく。
暑い中一生懸命外を歩いてきたらしく、汗で髪の毛が張り付いて、赤い顔をしている。
その顔がゆっくり笑顔になって、「ママー!」という嬉しそうな声とともに、タタタとこちらへ駆けてきた。

荷物を置いて、息子に向かって両手を広げる私。
ギュッとハグして抱き上げようとしたら、三歳児の体の厚みと重さに、思わず「デカっ!でっか!!」と声が出た。
たった一週間足らずでも、新生児サイズに体が慣れていたのだ。 

それでもなんとか抱き上げて、汗ばんだ体をぎゅうぎゅうしていたら、思わず目に涙が滲んできた。
あぁ、こんなにも会いたかったんだ、私。

号泣するかと思った三歳児は満面の笑顔で、泣いたのはむしろ大人の私の方だった。