未知なる世界、母乳育児

「多くの人が通る道なのに、実は当事者になるまでほとんどその内実を知らない」世界というのがある。
結婚式とか、妊娠出産とか、保育所への入所とか、親の介護とか、お葬式とかがそれだ。
私にとって「母乳育児」というのもそうだったのだと気づいたのは、今回二人目を育てる段になってからだった。

一人目のときはほとんど母乳が出なくて早々に完ミに切り替えたから(この「完ミ(=完全ミルク)」「完母(=完全母乳)」という用語からして、当事者にしか通じない一種のジャーゴンだ)、母乳育児のことは今回初めて真面目に勉強して、その奥深さというか、十人十色さに少々驚いているところ。

そんなわけで、最近はけっこうなエネルギーを「母乳育児」に費やしている。

母乳で授乳していると、当然のことながらお母さんは赤ちゃんと常に一緒にいなくてはならない。
空間的にも、時間的にも。
その、空間なり時間なりが一緒になれないときーー赤ちゃんの飲みたいときにお母さんが違う場所にいるとか、お母さんのおっぱいが張っているときに赤ちゃんがぐっすり寝ていて飲んでくれないとかーーにするのが「搾乳」だ。

搾乳は手でやる方法と搾乳器を使う方法とがあって、手でやると使う道具が少なくて手軽である代わり、けっこう疲れるし時間がかかる。
搾乳器を使うと、早く楽にできる代わり、細かいパーツの多い器具をいちいち洗わないといけないし、外で搾乳する場合は荷物がかさ張る。

搾乳器、うちも買うだけは一人目の時に買ってみたものの、ほとんど使わなかった(使えなかった)。
でもこれが、二人目では大活躍。

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なんとなくドラえもんの道具みがある。

搾乳器に限らないのだけれど、育児用品というのは一大ワールドで、抱っこひもの類ひとつとっても、めちゃくちゃ多岐にわたっている。
「抱っこひもの類」というのは、いわゆる抱っこひもだけじゃなく、スリングやおんぶひもやヒップシートといったいろんな別種があるからで、その付属品(あると便利なグッズ)まで含めると、もうほんとに一大市場。
これまで開けたことのなかった扉をたまたま開けたら、こ、ここにこんな広大な世界が広がっておったか...!という感じ。

搾乳グッズについては、前回の出産後あまり母乳が出なかったからこれまでほとんど調べたことがなかったのだけれど、今回はそこそこ母乳が出るので、「道具」好きとしてちょっと興味が湧いていろいろ調べてみたら、あるわあるわ、搾乳用品にも未知の広野が広がっていたのだった。

そもそも搾乳器もいろんなメーカーがいろんなタイプを出していて(手動、電動、電動でも電池式と電源式、片乳用、両乳同時にできる用など)、たいていは哺乳瓶とセットになるので、持っている哺乳瓶のメーカーで買うことになる。
うちはピジョンのを買ったのだけど、ピジョンの搾乳器のサイトを見てみると、そこにもさらにいろんなオプショナルグッズが並んでいる。

たとえば外出先で搾って持ち帰る場合や、家で冷凍保存しておくときに使う、フリーザーパック。

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外で搾乳した場合は、哺乳瓶からこのフリーザーパックに母乳を移し替えて密封し、保冷バッグに入れて持ち帰る。
でもこれ、一回一回移し替えるとそのたびに哺乳瓶を洗わないといけないし、移し替える手間もかかる。

そこで登場したのが、搾乳器から直接フリーザーパックに保存するためのアダプター。
搾乳界の「あったらいいな」をカタチにした小林製薬的商品だ。

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哺乳瓶の代わりにこのアダプターでフリーザーパックを取り付けるので、移し替えずにそのまま保存できる。
今年の8月に新しく出た商品のようなのだけれど、それまでなかったというのも不思議な気がするぐらい、あってほしいグッズだ。

ピジョンだと、この他にも「哺乳瓶のまま漏らさずに持ち歩けるフタ」とかもあって、どれもこれも、当事者になって初めてその必要性というか便利さが分かるグッズなのだった。

見てるとどれも欲しくなるのだけど、さすがに全部買っていたらキリがないので(全部買ってもそんなに高額にはならないのでつい欲しくなるのだ)、今回はひとまず、上記のアダプターとフリーザーパックを追加で購入した。

こういう搾乳用品が充実してきたのは、たぶん働くお母さんが増えてきていることと無関係ではないだろう。
私も、数ヶ月後に予定している仕事復帰(週1~2程度だけど)に備えて、今回搾乳のことを真面目に調べ始めたから。

外出先での搾乳については、先日試してみていろいろと気づいたことがあるので、それもまた後日まとめてみたい。