匂いが足りない

マスク生活になって初めての秋。

ある日の朝、園バスのバス停に向かう途中で、息子が「なんか、においがする」と言い出した。
「なんの匂い?」「なんか...におい」。

マスクを外して鼻をくんくんしてみたら、はっきりと、秋の匂いがした。
いろんな葉っぱと湿った土の、山のような匂い。
息子はバスに乗るまではマスクを外しているから、それが分かったのだ。

「これは、葉っぱの匂いだよ。秋の匂いだよ」と教えてあげたら、「へぇ~。あきのにおいなんだ~」と、顔をほころばせる息子。

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昔から、秋の始まりと冬の始まりの匂いが好きだった。
小学生だった姉と私は、登校するために玄関の門を出るとき、いつもほとんど同時に気づいたものだ。
「あ!冬の匂いがする!」と。

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マスク生活になって、外の匂いにずいぶん鈍感になっていたことに気づかされた。
息子は、まだまだ知らない外の匂いを、これからたくさん知っていく時期だ。
匂いの体験が、コロナのせいで大きく損なわれることがないよう、早くマスク生活が終わることを願うばかりだ。