ヒュウゥンの道

朝晩、吐く息が白くなってきた。

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スーパーからの帰り道、よく通る道がある。
信号をひとつショートカットできるので通るのだけれど、最初がちょっとだけ急な下り坂になっていて、そこを息子と「ヒュウゥンの道」と呼んでいた。

「今日、ヒュウゥンの道通る?」と後ろに座る息子に訊くと、たいてい「とおる!」と返事が返ってくる。
「じゃあ、行くよ~!」と声をかけて下り始めると、後ろから「ヒャァァ!」とも「キャァァ!」ともつかない、すごく楽しそうな声が聞こえてくるのだ。

息子を乗せて自転車でいろいろ行っていたのは、二人目妊娠前だから、もう一年以上前になる。
今はスーパーにはできるだけ行く回数を減らしているから、荷物をたくさん積むため、夫が休みの日に息子を任せて一人で行くことが多くなった。
だから、しばらくあの歓声は聞けていない。
それでも、ヒュウゥンの道を通る度に、息子のあの「ヒャァァ!(キャァァ!)」という楽しそうな声が聞こえてくるような気がして、走りながら口許が緩むのだった。

三歳だった長男にはもう会えないんだなと思うと、すごくさびしい。