末っ子アイドル黄金期

ベランダの上階から垂れ下がってきた何かのつるが、朝顔だったと分かったのは、10月になってからのことだった。
小学生の時、夢中でいくつもいくつも取った懐かしいあの種。

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外に出るのに一番いい季節になった。

一歳になった次男はまだ数歩よちよち、という感じで、外歩きデビューにはもう少しかかりそうだけれど、抱っこやベビーカーで外に連れ出すと、いろんな声を出して大変ご機嫌に過ごすようになった。
次男は長男よりも言葉が出るのが早そうで(長男は二歳頃までなかなか言葉が出なかった)、最近は「○○する?」と問いかけると「ウン」と言うようになった。
なんでも律儀に「ウン」と言うのが可愛くて、夫も私も長男までもが、しょっちゅう「ごはん食べる?」「オムツ替える?」「お外行く?」「お風呂入る?」と事あるごとに「ウン」を言わせようとする。
そのたんびに次男は「ウン」「ウン」、時にはこちらが尋ね終わらないうちに「ウン」と言うので、それを聞いてまた大人や長男が喜ぶのだった。

次男を見ていると、あぁ、末っ子気質というのはこうやって作られるのか...と感心してしまう。
とにかく周りが笑ったり楽しそうにしたりしているのが好きで、何に笑っているのか分からなくても、雰囲気につられて笑い出すのだ。
時には拍手までして喜ぶ。
その姿を見て周りがワーッと沸くと、ますます嬉しそうに拍手をしたり、体全体を揺らして喜ぶのだ。

先日たまたま、次男が両手で頭を抱えるような仕草をしたので、すかさず「困った困った!」とアテレコをしてみると、すっかり気に入ってすぐに覚えてしまった。
「困った困った!」とけしかけると、嬉しそうに頭を抱えて見せる。
そして、それをすると周りが笑う、ということを学習したのか、何かあると自発的に「困った困った!」をやって周りを沸かせるようになった。
それを見ていると、「なるほど、こうやって『年長者に可愛がられる末っ子気質』が育っていくんだ...」と、人間の性質が出来ていく過程を目の当たりにしているような気持ちになるのだった。

ヒトの一歳~二、三歳頃というのは、たぶん人間が文句なしに一番可愛い姿をしている時期だと思う。
長男の前であからさまに次男を可愛がるのはよくないかな...と意識しつつも、あまりの可愛さに「なんて可愛いの~!」と長男がいるときでも次男をすりすりしてしまうときがあるのだけれど、そういうとき意外に長男は平気そうで、それどころか一緒になって「ふくちゃんほんとかわいい」とじっと見つめていたりする。
それを見ていると、あぁ、これはもう一歳児が「生き物として可愛い」んだなぁと思う。
子熊やパンダが無条件に可愛いのと同じで。

今しばらくは続きそうな末っ子アイドルの黄金期、ファンとして見逃さないようしっかり見守りたい。