年末、京都にて

しばらく会えない人に会うために家族で急遽京都へ向かったのは、ちょうど一年前のことだった。
年末を前にコロナ第三波が広がり、政府が帰省自粛の呼びかけをする一方でGo to トラベルを継続するという、馬鹿馬鹿しい状況の最中で、その後まもなくGo to トラベルは中断されることになった。

f:id:coffeesofa:20210107173630j:plain

第三波に迷いつつ、思い切って家族で行くことに決めたのは、義兄の海外赴任が急に決まったためだった。
子どもに異様に好かれる義兄のことを、ご多分にもれず長男も異様に好きで、この先何年も会えなくなるかもしれないその大好きなおじさんに長男をどうしても会わせてあげたかったのと、コロナ禍の夏に産まれた次男にまだ会ってもらっていなかったのとで、行くことを決めたのだ。

たまたま京都に行っていた義兄に会う目的を無事果たした後は、以前から「京都に行くならいつか」と思っていた京都鉄道博物館がちょうど近くにあったので、長男のため立ち寄ることにした。

f:id:coffeesofa:20210107181125j:plain

「ちょっと立ち寄る」つもりだった京都鉄道博物館は、実際行ってみると、一日いても足りないぐらい充実の展示だった。
どのコーナーをとっても、特別鉄道好きではない大人でも十分楽しめるようにできている。
特に関西で生まれ育った人にとっては、知っている路線や車両がたくさん見られるから、電車を使う人なら誰にとっても楽しめる展示になっているのだ。

リアルタイムのアナウンス付きで繰り広げられるジオラマ上映も、一度ならず二度三度と見たいぐらい素晴らしかった。
JRの各路線だけでなく、いろんな私鉄のミニチュアが時間差であちこちから走ってきて、ひとつひとつに解説がつくのだ。
早朝から始まって、お昼、夕方、夜と風景が変わっていくのもすごくきれい。

f:id:coffeesofa:20210107181706j:plain

子連れのおでかけは頻繁なトイレやオムツ替え、授乳等々でただでさえ時間がかかるので、この日は次に行ける時までの「下見」と割り切って、文字通り駆け足で見て回った。
ちなみに授乳室や広いトイレなど、子連れが安心して回りやすい施設だったことも素晴らしかった。

*******

この半年後にワクチン接種が進み、海外との行き来も少しは緩和されたものの、結局これ以来義兄と息子たちはオンラインでしか会えなくなった。
あれから一年経った今もまだまだいつ自由に会えるか分からないことを思えば、思い切って会わせておいて良かったなと思う。
子どもは大人と違って何年か後には会わない人のことを忘れてしまうし、子どもの外見や中身も数ヶ月で激しく変わる。
本当は大人だって「今」は今しかないのだけれど、子どもはそのことをもっと鋭い形で教えてくれる。
どんなに繰り返し会っていても、そのときの人と人は文字通り「一期一会」なのだ。

しばらくは、会いたい人に「こういう時だからこそやめておく」と、「こういう時だからこそ会えるときに会っておく」の間で、その都度判断していくしかないのだろうな。