銀座

羽田へ行った帰りは、銀座に立ち寄ることにしていた。
来春入学する子用のランドセル選び、通称「ラン活」が本格化する時期になり、まだ一度も実際に見に行ったことのない夫が、都心へ出たついでにショールームへ行ってみようと言い出したのだ。
他の街でも良かったのだけれど、ランドセルメーカーのショールームは銀座に集中している。
息子はカタログを見てもう「これにする」と決めて他は見ようとしないので、主に親が店員さんにいろいろ質問をして、買うのはもう少し先だけれど、意外に早くおおよその方向が定まった。

歩き疲れたので、銀座三越の上の方にあるオープンな休憩スペースで休むことにして、エレベーターで上へ。
高いところに昇る経験の、そういえば少ない息子が、エレベーターを降りるや否や「そと見たい!」と窓に駆け寄った。

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そうだよなぁ。
銀座は、子どもにとってはすごい都会だ。
もちろん、私だってここ数年はほとんど来たことがなかったけれど。

久しぶりに来た銀座にはもうひとつ用事があって、それは私一人で済む用事だったので、夫と子どもたちは三越で休んで待っていてもらうことにした。
向かったのは、数十メートル離れた「伊東屋」。
昔々親にお下がりでもらった万年筆があって、最近また使い始めたのだけれど、調子が悪いのでいつかプロに見てもらいたかったのだ。
お下がりなうえ、もらった時点で何年経っていたかすら分からない代物だけれど、ペン先から生み出される線の形がとても私好みなのだ。

しばらく列に並び、万年筆ドクターみたいな人に見てもらった結果、調子が悪いのはたぶんもともとの個体差(海外製にはよくあるらしい)と経年変化の両方のようで、絶対に修理が必要な状態でもなさそう。
前から知りたかった「この万年筆はいくらぐらいのクラスのものなのか」も分かった。
いわゆる「高級万年筆」と言われる部類(三万以上くらい?)の、それほど高くないクラスとのこと。
これでそれほど高くないのなら、高い万年筆はどれほど書き心地がいいんだろうと、好奇心がムクムク湧き起こった。

ただ、この時点で夫から「なる早で戻って」メールが来ていたので、迷った修理依頼はひとまず保留にして、そのまま持ち帰ることに。
でもせっかく伊東屋まで来たので、同じメーカーの他の万年筆もいくつか試させてもらった。
ペン先の材質や造りの違いで書き心地もいろいろだけれど、今持っているものでなくても万年筆自体がめちゃくちゃ書き心地がいいことが分かって、心の中の欲しいものリスト上位に追加されてしまった。

後ろ髪を引かれながら急いで三越へ。
夫や子どもたちと合流する頃には、すっかり日も暮れていた。

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懸案事項だった万年筆の診断もしてもらえたし、ランドセルはメーカーのすべてのモデルが見られたし、銀座まで来た甲斐があった。
たまには都会に出ないとな。