マイナーチェンジする夫

洗濯物を干していたら、一ヶ所だけ洗濯バサミが割れていたところが直っているのに気が付いた。
あれ?ここ、壊れてたはずなのに。

すぐに、夫の仕業だと気づいた。
夫はこういう、一ヶ所だけ壊れているとかが、なぜか放置できない性格なのだ。
私は、何十個かぶら下がっている洗濯バサミの一つが欠けても、まぁ使えるし、あといくつか壊れたら買い換えるか、ぐらいの気持ちで放置していた。
取り外すのも力が要りそうだし。
それを、取り外して、別の洗濯バサミを取り付ける(これまた力と道具が要る)という作業をわざわざやるぐらい、夫はここが気になったんだ...と思うと可笑しかった。

その数日後。
掃除機をかけている最中にキャスター付きのワゴンを動かそうとしたら、しょっちゅう外れていたワゴン横のバーがいつの間にか固定されているのに気が付いた。
何年も前、外れたパーツが何のパーツかずっと分からず、もういいかと捨ててしまってからここの留め具だったと気が付いたのだけれど、後の祭りで、以来ずっとバーがガタガタしていたのだ。
まぁ、あれば便利だけどなくてもなんとかなるバーなので、そのまま放置していた。
どうやら、これも夫は気になっていたらしい。
よく見ると、紙を器用に折り畳んだ詰め物と養生テープで、見えないところが補修されていた。

そういえば掃除機も、夫の手によってちょっとした修理がされている。
何年か前、掃除機の取っ手が一部割れてしまい、もう20年以上使っている掃除機だから仕方ないし、何とか使えなくもないうえ、取り外すのも付け替えるのも難しそうだったのでそのまま使っていたのだ。
夫はこれも、どうやらすごく気になっていたらしい。
あるとき、割れた取っ手がどうやったのか取り外されて、丈夫そうな紐に付け替えられていて、見た目はブサイクだけど安心して使えるようになった。

夫は本当に、こういう小さな補修をこまめにやる人だ。
助かるし、便利なんだけど、いつも「そこが!そんなに!気になってたんだ!」と笑えて仕方ない。
私なら、家で使うだけの、人目につかない日用品は「使えたら別にいい」と一部壊れても放置してしまいがちなのだけれど、夫は絶対こまめに直してくる。
たぶん、修理方法や道具を知っているのも大きいと思う。
夫が気になるポイントはだいたい分かってきた。
戸のがたつきとか、蝶番のズレとか、レールのすべりが悪いとか、玄関ドアの閉まる速度が早すぎる(または遅すぎる)とか、水平垂直が歪んでいるとか、そういうやつだ。
一方で、床がベタつくとか室内に持ち込んでほしくない汚れとか、その手で食材を触るのはどうかといった衛生面、あと洗濯物がしわくちゃになるとか、夏にヒートテックのシャツを着るとか、見た目のダサさとかにはほぼ無頓着。
そのへんは逆に私が気になるタイプで、夫にしょっちゅう口うるさく言ってしまう。

そんな夫の、最近の一食。
少し前に私が「香草パン粉焼きは居酒屋で絶対頼む」と言っていたのを覚えていたらしく、この日のメニューは香草パン粉焼きだった。
私のイメージしていたサクサク感はなかったけど。
料理には細かさが発揮されないのが不思議。