マーヴェリック

午前中いっぱいかかる予定だった所用があっけなく終わり、突然の潤沢な一人フリータイムが発生した。
予定では、用事のあと一人ランチ、延び延びになっていた免許証の更新、その後少しだけフリータイムがあったあと、家にいる夫が子どもたちを連れて合流、のち外食、という流れになっていた。

そのフリータイム部分が大幅に増加。
この日は新宿まで出ていて合流も新宿だったから、一度家に戻るわけにもいかない。
かといって、年に一度あるかないかの、降って湧いたまとまった一人時間をただつぶすのはもったいなさすぎる。

というわけで、頭の中で素早く予定を組み換えた。
とにかく免許更新をいち早く済ませて、そのあと見られそうな映画をリサーチ。
うまくいけば『トップガン・マーヴェリック』か『ベイビー・ブローカー』が見られる。

初めて行く西新宿での免許更新は幸いサクサク進み、受付から出るまで一時間くらいで終わった。
どちらの映画にも間に合う時間だったので迷ったけれど、やっぱりここはせっかく映画館で見るのだからトップガンでしょう!
ということで、期せずしてトップガンを観てきたのだった。

いや~、良かった。
なんかもう、すべてが懐かしかった。
トップガンに特別思い入れがあったわけではないし、そもそも前作の内容はほぼ忘れていたけれど、前作を初めて見た中高生の頃のことを思い出した。
リアルタイムで見ていたわけではないから、ビデオやTV放映で何度か見たのだと思うけれど、80~90年代の空気感や、自分がそれを見ていた時代を思い出したというか。
トップガン・マーヴェリック』自体が、前作の出演者がそのまま年を取った設定で出てくるから、彼らと記憶を共有しているような、あの時代の空気を共に知っているような、錯覚に陥るのだ。
トム・クルーズジェニファー・コネリーも、アイスマン役の人(名前は知らない)も、昔よく見た俳優たちが出てきた時点で、(たとえがショボいけど)織田裕二とか江口洋介とか鈴木保奈美とか、安田成美とか吉田栄作とか加勢大周が同窓会で顔を合わせたのを端から見てる...みたいな強烈な懐かしさがあった。
西日を効果的に使った飛行場の映像もあいまって、今風に言うととにかく「エモい」のだ。

「有無を言わせぬ実力で周りを味方につけるヒーロー vs 苦虫を噛み潰す上官」とか、「んなアホな」というぐらい都合よく味方が窮地を切り抜ける展開とか、アメリカ映画らしいテイストにも溢れていて、あぁ、そうそうこういうのが欲しかったんだよ!という気持ちになった。
ミニシアター系ヨーロッパ映画のテイストもずっと好きなのだけれど、今はこれ、この馬鹿ほどお金がかかってそうな、戦闘機とか平気で炎上させるような、こういうスカッとしたアメリカ映画が観たかったんだよ!と。

爽快な気分で映画館を出たら、しばらくして夫と子どもたちがやってきた。

この日は夫の仕事のちょっとした節目で、「景気づけにおいしいものを食べに行きたい」というので、最近長男が食べたがっていたお寿司を食べに行くことに。
ちょうど「映画の半券を見せるとワンドリンク」というサービスをやっていて、ラッキー!とさっき見た半券で生ビールをGETした。
夫が「何観たの?」と訊くので「フッフッフッ...」と半券を見せると、「え!!トップガン観たの?!マジで?」となぜかえらく妬まれた。
知らんがな(笑)

五年ぶりに免許を更新して、爽快なアメリカ映画を観て、家族でお寿司を食べた、夏の一日。