謎のウッシャマ

真夏に生まれた次男が、二歳の誕生日を迎えた。
あの、出産前後の永遠に続くような暑くけだるい日々を、毎年懐かしく思い出す。

次男はおえかきが好きで、最近、丸や曲線を描けるようになった。
歌や躍りも大好きで、音楽がかかると自然に体がダンスのような動きをするし、歌詞もすぐに覚えて、不完全ながら自分で歌っている。
音程はまだなかなか難しいところもあるけれど、イントネーションとリズム感はかなりしっかりしていて、音のタイミングはバッチリだ。
だから、歌詞がはっきりしなくても「もしかしてあの歌うたってる?」というのがすぐ分かる。
「ぴーひゃぁぴーひゃぁ、ぱっぱぱぁぱー」とか(←ちびまるこちゃんオープニング)、「わんわんダーンシュ、フゥフゥー!」とか(←Eテレのいないいないばぁの歌)、「はこねーぇじぇ、ぼぉねーぇじぇ、チーン!なんでーねーん!」とか(←パスタソース「ハコネーゼ」のCM)。
寝る前は、知っている歌を延々と(長いときは一時間近く!)一人で歌い続けるので、「ふくちゃんのおやすみメドレー」と呼ばれて、パパママ兄にちょっとうんざりされている(笑)

歌だけでなく、とにかくよくしゃべる子で、寝ているとき以外ずっとしゃべっているのでは?というぐらいしゃべっている。
「ママー。(忙しくてすぐに返事をしないでいると)ママー!マァマァ~!」と催促するように呼び続けるし、「おいし~ねぇ~?」とか「あちゅいねぇ~?」と同意を求めるような言葉も発する。
この間は、帰宅して冷房の効いた室内に上がるやいなや「きょうも、あちゅかった~」と大人みたいなことを言うので噴き出してしまった。
私がよく言ってるんだろうな...(笑)
「あはん(ごはん)、たったい(食べたい)」「おしょと(お外)、いったい(行きたい)」といった「○○したい」系もかなりはっきり。
最近は、暑くてほとんど外出せず家にいたときなんかに「おしょと、いったかった」と、過去形で何度も恨みがましく言ってきたりもする。

次男の言っていることはたいてい聞き取れるのだけれど、一ヶ月ぐらい前から言い出した「ウッシャマ」という謎の言葉だけは、しばらく分からなかった。
謎の言葉の割によく言うから、次男が「ウッシャマ」と言うたびに「出たよ、謎のウッシャマ!」と夫と気になっていたのだけれど、何のことかはさっぱり分からない。

その「ウッシャマ」の正体が、突然判明する状況がやってきた。
先日、子どもたちと私で日中家にいたときのこと。
台風が近づいていた日で、朝から暗く曇りがちだった空に、お昼ごろ日が射してきて室内が急に明るくなった。
その瞬間、次男が外を指差して「ウッシャマ!ウッシャマ、でた!」と言ったのだ。
ハッ!これは、シチュエーション的にもしかして?!
慌てて次男に「おひさま?!もしかして『ウッシャマ』っておひさまのこと?!」と訊いてみると、そう!という感じで満面の笑顔になって「ウッシャマ!ウッシャマ、でてゆ」と繰り返した。
おひさまかぁ~!
長男も納得の表情。
「知らない国で、状況的に急に言葉が通じた瞬間」みたいな感動があった。
その後も、外でまぶしかったり日が射して明るくなったりすると「ウッシャマ」という言葉を発するので、「ウッシャマ=おひさま」説はほぼ確実となった。

それにしても、私も夫も「おひさま」に言及することはほとんどない(と思う)のに、次男がなぜ「おひさま」という語を知ったのかは謎。
しかも「出る」という動詞と一緒に使っているのが、ますます謎だ。
親の私たちが使うのでなければ、テレビ(Eテレ?)としか思えないのだけれど。

毎日いろんなことを吸収していく次男。
最近は「うっしゃい(うるさい)」という言葉も覚えていたので、おしゃべりすぎる次男に「うるさい」と言わないように気をつけなければ...(笑)