東京

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初めて一人で東京に来たのは大学受験の時で、
どこに泊まったのだったかはさっぱり覚えてないけれど、JR線から見たお堀の風景が、長らく私にとっての「東京」の景色だった。

市ヶ谷の釣り堀は、二十年前の記憶の景色とほとんど変わっていなくて、古いアルバムの写真を見てるみたいな気分になる。
もっともっと昔、この釣り堀ができた頃は、このあたりはもっとのんびりとして、高い建物もそれほど多くなく、手軽に立ち寄れる遊び場という感じだったんだろうか。
その頃の東京に行ってみたい。

結局私は二次試験を受けないまま、東京の大学には行かなかった。
山手線の中で、昼間の日光に大量の埃が透けて舞うのを見ながら、「あぁ、ここには住めないな」と思ったことを強く覚えている。
事前に情報を集めるにも、インターネットも何もない時代だった。

あの頃通りかかった東京は、東京の僅かな僅かな片鱗だった。