読み終えないと落ち着かない

時々書評とかインタビューを見かけて気になっていた、姫野カオルコ『謎の毒親』。
図書館で見かけたので借りてきて読み始めたら、止まらなくなって、一気に最後まで。

f:id:coffeesofa:20190803001422j:plain

そうだった。
姫野カオルコの本はいつも、読み始めたら他のことが気もそぞろになるくらい続きが気になって、読み終わるまで落ち着かず、結局一気に読んでしまうのだった。

それにしても、またしてもすごい本だった。

著者自身が親から受けた謎の言動の数々を、投稿相談と回答という形で小説仕立てにした、トリッキーな作り。
とは言え、相談内容(つまり親から受けた言動)は全て事実らしい。
それがまぁ、本当に何とも言えない、虐待というには理解に苦しむ、タイトルに「謎の」とつけざるを得ない、あまりにもなエピソードの数々なのだった。

こんな壮絶な訳のわからなさの中で、よくぞまともな精神を保って生きてきた、よくぞ生き延びて作家という仕事にまで就いた...と深く敬意を表したくなるような、そんな小説だった。
回答してくれる相談先の設定も、いやもう本当にこれどこから思いつくのかというような設定で、その設定すらも実話なのではないかと思えるほどリアリティがあって、かつ、このうえなく温かいのだった。

『彼女は頭が悪いから』も一気に読んで余韻がすごかったけど>>ひさびさカオルコ - 珈琲とsofaのあるところ<<、この『謎の毒親』も、じわじわと長く余韻が残りそうな気がしている。