一歳の誕生日に、ボーネルンドのおさかなシロフォンをもらった。
いまのところ、息子にとってバチは叩く「道具」ではなく、それ自体がおもちゃのようで、キャンディみたいにナメナメしてしまう。
柄が長くて危ないので、安全に使えるようになるまではもう少しかかりそうだけど、時々何か演奏してあげよう。
1オクターブ、白鍵だけで弾ける曲。
ちょうど一年前、
Norah Jonesのかかる分娩室で、私は息子を産んだのだった。
前日のお昼、病院に向かう道にはキンモクセイの香りがしていて、
あぁ、次にここを通るときにはもう私は一人じゃないんだなぁと。
秋の午後の金色に光るこの風景のことを、私はたぶんずっと忘れないだろうと思いながら、歩いたのだった。
先日書類を整理していたら、産まれた病院でつけていた授乳・オムツ替えの記録が出てきた。
一回20mlとか、なんてなんて小さかったんだろう。
あの頃の私のもとへ行って、大丈夫、今は大変だけどおかげでちゃんと育って今は一歳になったからね、一歳になったらもっとめちゃくちゃ可愛いからね、ってそれだけ枕元で囁いてきてあげたい。
すっかり秋の空。
息子はまだ意味のある言葉はしゃべらないけれど、
一日一日、分かる言葉が増えていっている感じがする。
わかるようになった順に...
バイバイ(手を振る)
ごちそうさま(食べた後に手をパチパチする)
鼻の場所(お鼻は?って聞くと指差す)
ごはん(この言葉を聞くとキッチンを見て落ち着きなくなる)
いただきます(食べる前に手をパチパチする)
行ってきます(手を振る)
等々。
毎日見てるのに、毎日前の日より可愛くなる。
モノレールの駅は、どこもなぜか、なんとなく似ている。
多摩モノレール。
羽田のモノレール。
神戸のポートライナー。
大阪の万博公園モノレール。
あとどこだっけか。
記憶とも呼べない記憶で、だけど強烈に何かを思い出しそうになる古い記憶がある。
どこかの「デパート」の屋上に浮かぶアドバルーンや、上空から見た団地?群や、あと休日の朝に飛ぶ宣伝用セスナのブーンという飛行音、そこから降ってくる女性の明るく高い声。
それらをいっぺんに見たのか、直接見たのか絵本やテレビで見たのか、そのあたりの記憶はまったくない。
「デパート」という言い方はうちではしなかったし(「百貨店」だった)、記憶の中になぜか「浅草」という言葉も出てきたりするから、絵本かテレビで見たのかもしれない。
共通するのは「昭和」の、「高度成長期」の、強烈な匂い。
モノレールの駅も、何かそういうものを思い出しそうになる。