Four days to the election

「新聞記者」を観てきた。

内容的にDVD化されないかもしれないとか、見るなら選挙前に見た方がいいとか、前情報をいろいろとネットで見て、やはり行っておくかな...と。
宣伝も異例なくらいされていないらしいけど、それでも観に行く人がいる、というのを伝えるには、やはり映画館に足を運ぶのが一番だ。
何かにお金を払う、というのはまさに「投票」と同じなのだから。

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結論から言うと、面白かったし、確かにこれは選挙前にこそ見るべき映画だと思った。
フィクションということになっているけど、かなりノンフィクションっぽい。
ジャーナリズムが伝えるべき内容を、今は映画が伝えるしかなくなってるんだろうな...と思った。
それでも、こんな映画がちゃんと公開されるだけの自由がまだ残っていたのには、ちょっとホッとしたけど。

ネタバレになるのであまり詳しくは書けないけど、J医学部で悪名高いK学園に関する衝撃の新事実(映画の中で)は、たぶん現実の事実なんだろう。
他の部分があそこまで現実をなぞっていて、そこだけ完全なフィクションだとしたら、それこそ「根拠のない中傷だ」と訴えられかねないし。
何より、そういうことか...!という腑に落ち感がすごくある。

その衝撃の事実(たぶん)を知るためにも、できるだけ多くの人が見るべき映画。

Life is short

一年ぶりくらいに、仕事関係の研修へ。
中途半端な時間に始まり、夜まで食べる暇がないので、スープストックで早め&多めのランチ。
豆腐の入ったスパイシーなカレーが美味しかった。

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二件の研修を掛け持ちして、夜は懇親会という名の接待ごはん。
出なくても良かったのだけれど、久しぶりに出てもいいかなと魔が差して行ってみたら、ぐったり疲れて帰ることになったのだった。

接待相手は昔から知っているエライ人。
そうだった。
この人のいる飲み会に行くと、いつも必ず嫌~な気持ちになって帰るのだったことを、今回久しぶりに思い出した。

若い頃は、その嫌な気持ちを「自己嫌悪」だと思っていた。
だけどふと、今回初めて「いや、違うかもしれない」と思った。
私が「なってない」のではなくて、飲み会の席でのその人って、客観的に見てかなり嫌な奴だよなぁ...と。

歳を取ることの良さのひとつは、こういうところにあるなぁと思う。
どこまでも自分を省みて、自分に何か原因があるのではないかと気にするのが若さだ。
だけど、歳を取るといい意味でふてぶてしくなる。
あっさり相手のせいにして、それでもうその件は終わり。いつまでもくよくよ考えない。
ということが、できるようになる。

もちろん省みるべきときは多々あるだろうけれど、そうする価値があるかないかの判断が早くなった。
考えても仕方のないことはそれ以上考えない。
そんなことにたくさん時間を使えるほど、人生は長くない。

老い先を考えるようになったら、もう立派な年だなと思う。
だけど、それはそれでいいのだ。
残された人生の時間は、楽しむことに使いたいのだから。

神経衰弱する息子

息子がある程度の年齢になったら買おう、と楽しみにしていた「メモリーカード」。
トランプの神経衰弱みたいな遊び方をする、絵だけのカードだ。

本当は、何年か前marimekkoで見たメモリーカードの絵柄が可愛くてずっと欲しかったのだけど、そこそこのお値段がしたので当時は見送って、またそのときが来たら絶対これを買おう!と思っていた。
しかし、いざそのときが来て探し始めたら、なんとmarimekkoメモリーカードはもう廃盤になっていたのだった!
本国フィンランドになら残っているかもと、昨年フィンランドに旅行した姉に現地でも探してもらったのだけれど、残念ながらもう見つからなかった。

そこからメモリーカード難民と化した(←大げさ)私は、ありそうな雑貨屋(FlyingTigerとか)をちょくちょくパトロールしていたのだけど、これという絵柄のものがなく。
そうこうするうち、雨続きでいよいよおうち遊びのバリエーションが必要になってきたので、普通にネットで調べてみたら、けっこうメジャーに出てきたのが、絵柄が抜群に可愛い「五味太郎どうぶつメモリーカード」だった。

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そういえば、同じ五味太郎のカードシリーズで、文字が入った「しりとりカード」というのを、もう十年以上前に甥っこにあげたことがあったのを思い出した。
けっこう好きだったのに、その遊びのことをすっかり忘れていた。
育児って、こういう「忘れていたことを思い出してもう一度体験し直せる」ようなところがある。
それはけっこう幸せな体験だ。
甥っこは息子と十歳以上離れているので、私にとって息子を育てるのは、だいぶ年が離れて産まれた第二子をもう一回楽しみながら育ててるみたいなところがあって(もちろん、一緒に遊ぶ係だけだった甥っこの時よりだいぶ大変だけど!)、あぁそうだった、そうだったと、ひとつひとつ味わいながら体験し直しているのだった。

さて、息子のメモリーカード
全部で33組もあって、いろんな動物の絵が描いてあるから、息子もまずはその絵が見たいだろうと思って、じっくり絵を見せてあげることに。
ただし一度に全部見せるとたくさんありすぎて混乱しそうなので(行方不明にもなりかねないし)、半分だけ見せることにした。

新しいおもちゃにワクワクの息子は、私が一枚ずつ渡してあげたカードを、横一列に並べ始めた。
へ~、そうするんだ...と思いながら見守る。

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次に、「同じものを一組にする」が理解できるように、残しておいたペアの片方を渡していく。
「同じ動物はどこにいる?」と聞くと、嬉しそうに「えっと~...」と探す息子。
見つけたら、最初はそのへんにポンとカードを置いて次のカード!という感じになったけれど、
「こうやって並べて置いてね」と2つほど例を見せてみたら、あとはちゃんと上下に並べて置けるようになった。

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「同じものを一組にする」を2回やったところで、ふと気づく。
そうか、神経衰弱だとカードを裏返して置くから、「場所だけで覚えておく」「めくって絵柄を確かめる」という工程が必要なのか。

ということで、カードを3枚に絞って、その練習もしてみることに。

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息子に3枚選ばせたら、なんか地味で区別つきにくい絵柄を3枚選んだけど、まぁいいか...とそのままにして、絵をゆっくり見せてから、カードを裏返した。
そしてこちらの持っているペアの片方を見せ、「これはどこにいたかな?」と尋ねると、手当たり次第に全部めくっていく息子。
まぁなんとかペアリングができた。

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2回やってみたところで、なんとなく息子の落ち着きがなくなってきた。
「◯◯ちゃん、ちゅかれた...」と言われて、ハッとする私。
そっかー、確かに初めてにしては情報量多かったよね...と反省して、ひとまずカード遊びは終わりとなった。
道のりはまだまだ遠そう。

それにしても、自分で「疲れてる」ということが分かって、かつちゃんと大人に言えるのは、息子のえらいところだな~と思う(←親バカ)。
まぁ単に、すぐ疲れたと休憩する私の真似をしている可能性が大だけど(笑)

そんなわけで、神経衰弱に行き着くまでに、すでに神経衰弱した息子なのだった。

ボデガグラスを絶賛するの巻

先日キーマカレーを食べに行ったカフェ。

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ここでお水が入って出てきたグラス(うっすら後ろに写っている)が、いままさに私が惚れ込んでいる、ボデガグラスだった。

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前々から気になっていたボデガグラスが、よく行く雑貨屋でsaleになっていたのを見て、これは今買えということだ!と即買いしたのが先月のこと。
初めは一番小さいの(200ml)を2つと、その上の中サイズを1つ買ったのだけど、
あまりに使い勝手が良くて、さらに1つずつ買い足して、計5個がいま家にある。

きっかけは、ずっと使っていた無印のコップ(これもsaleで200円しないぐらいで買った)の縁に、小さな欠けができてしまったことだった。
気軽に使えてそんなに高くないグラスを探しているうちに、ちょくちょく見かけるボデガグラスが気になってきたのだった。
ボデガグラスはひとつ300~400円。
飲み物はもちろん、小鉢的に使えるというのがますます気になり、調べたら、食洗機可・そしてなんと耐熱なので電子レンジも可・なんなら蒸しプリンも作れるというのを知って、「これだー!」となったのだった。

実際、小鉢的に使えるのがあまりに良くて、毎日必ず1,2個は登場している。
豆皿と違って深さがあるから、少量のスープもいけるし、汁気の多いおかずにもぴったり。
フルーツやヨーグルト、アイスといったデザートにも使える。
飲み物も、ちょっとだけ飲みたいときは小サイズ、たっぷり飲みたいときは中サイズと使い分けられるし、何より、飲み物を入れたときの姿が美しい。
ビールなんかも、見た目がおしゃれなのでカフェでちょっと飲んでるような気分になって、少量でもなんとなく満足感があるし、最近はワインにも使ったりしている。
ワインは、気軽に使えるお揃いのグラスがずっとなかったので、これもまた嬉しいのだった。

こんなに活躍してるのに300円ぐらいっていうところがまた可愛くて、たぶんsale中にまたあと1個、買い足してしまうだろう。

「きのう何食べた?」ロス

4月から毎週すごく楽しみにしていたドラマ「きのう何食べた?」が、とうとう終わってしまった。

最終回とその前の回、シロさんの実家が出てくるシーンがとてもいい。
梶芽衣子演じるシロさんのお母さんや、実家の佇まいが本当にリアルで、メインに描かれてるのはシロさんとケンジの家なのだけど、実家には実家の物語があってそっちもちゃんと裏側で進行してるんだな...ということが分かる。
そういう「奥行き」や「背景」がしっかり感じられるのは、間違いなくいいドラマだ。

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シロさんとお母さんが並んで揚げ物の用意をする場面。
会話もしみじみと良かったし、料理の知識も「へぇ~」なことがいっぱいで、
「帰省したときに手伝う実家の台所」の理想形が、そこにあるみたいだった。

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『サカナ・レッスン』やドラマに影響されて久々に上がったやる気で、保存調味料を作ってみたりした、雨の週末。

さばいてみたい

例年になく梅雨らしい雨続きに加え、外壁工事の足場で室内も暗く、ちょっと鬱々とした毎日。

そんな中、たまたま図書館で見つけた新刊『サカナ・レッスン』を借りて読んだら、なんかちょっとスカッとした気分になった。

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前作『ダメ女たちの人生を変えた奇跡の料理教室』がかなり面白かったので、同じ著者&訳者のこれもきっと面白いだろうと期待した通り、軽快な文章と豊富な取材内容で、あっという間に読めてしまった。

料理家でライターの著者キャスリーン・フリンが、魚料理をマスターしに日本にやって来て、築地に見学に行ったりお寿司の学校に行ったりするお話。
ちょうど築地市場最後の日に見学に行くという取材のタイミングもあって、より興味深かった。
築地で初めて貝や海老の踊り食いを経験する場面とかは、あ~なるほど、外国人からするとこんな体験なんだというのが良く分かった。
まぁ、グロテスク以外の何ものでもないだろうな。。

前作を読んだときも今回の作品を読んだ後も、自炊欲、料理欲が高まるから不思議。

G-SHOCK(だいぶ長文)

晩ごはんの後、風呂場に干した洗濯物を夫と二人で取り込んでいたら、リビングで一人デザートを食べながらテレビを見ていたはずの息子が、今にも泣きそうなこわばった顔をして、廊下をタタタと駆けてきた。
「なんか、なんか...」と言って、リビングの方を指差す。
未知のものを見る表情。
この時点で、私には分かった。

ホラー映画でも何でも、一番怖いのは「そのもの」が出てきたときではなくて、「それ」を見た人の恐怖の表情が写されたときだ。

一縷の望みを託して「何?虫?クモ?」と聞いてみるも、首を傾げながら「むし...?なんか、なんか...」と自信なげに言う息子。
クモならクモと言える息子だ。
もうアレしかあり得ない。

凍りついた心臓を辛うじて動かしながら恐る恐るリビングを覗くと、息子の指差す方に、果たしてGはいた。

息子を抱きかかえて風呂場に走って戻り(と言ってもたかだか3m)、夫に事態を告げ、ひたすら息を潜めて退治してもらうのを待つ。
ただならぬ母の様子を見て、耐えきれず泣き出す息子。
私も泣きたい。

今年、建物の大規模な外壁工事が行われることになったと知った時点で、嫌な予感しかしていなかった。
排水管も少しいじると言っていたし、自分の家は万全に対策していたとしても、他の部屋からアレが移動してくる可能性も高い。
しかも、築15年以上経つ建物に引っ越してきて初めての梅雨。
毒団子は5月早々に家の外あちこちに仕掛け、さらに、一本しかなかった殺虫剤を、念のため部屋のもう一ヶ所に置いておくため追加購入したのがつい先週。
その追加の一本の場所を夫にちゃんと伝えておいたのが、功を奏した。

ただ後から聞くと、夫は息の根を止めるまでスプレーをかけずに、半殺しでトイレに流したらしい。
それを聞いて一瞬夫に殺気立ったけど、いやいやいや。
夫がいてくれなかったら、今日は夜寝ることもできなかったのだ。

落ち着いてから夫に、「ちょっといいかな。これ、めっちゃ大事な話だから。」と、正座して臨む私。
私「結婚してから、家の中にアレが出たのは初めてだよね?」
夫「そうだっけ?前のマンションでも見たじゃん」
私「外廊下とかにいたことはあるけど、家の中ではないでしょ?初めてのことだから、ちゃんと話しとくけど」

以下延々と、私がどんなにアレがダメかを力説する。
病気と思ってもらっていい。だけどそれを馬鹿にしたり軽んじたりしてほしくない。
奴らはほんの少しの隙間で入ってこれる。
アレを見ないために私は最大の努力をしているので(引っ越してすぐ目につく隙間にバチバチに目張りをした・ぬめりを作らないために毎日キッチン排水溝を掃除している・毒餌をたくさん仕掛けている)、外から入ってこないよう、ベランダや玄関をあけるときには重々注意してほしい。
段ボールに潜んで、あるいは卵を産みつけた段ボールから部屋に入ってくることもあり得る。
生命力が強いので、やるときは確実に息の根を止めてほしい。
万一どこか隙間に入り込まれても、絶対に目を離さないで、行き先を見届けてほしい。

さらに、ちょうど昨日、flyingtigerで350円で見つけた伸び縮みする虫取り網(魚とり網という名前だったけど)を念のため買っておいたのだ(タイムリーすぎる!)とその網を取り出して見せたら、さすがに夫も苦笑して、なんとか「軽んじたら離婚問題に発展する」という私の深刻さを分かってくれたみたいだった。

夫には言わなかったけれど、実際に昔、結婚を考えていた人と、別れの遠因になったことだってあったのだ。

あれも確か梅雨の頃だったと思う。
20年近く独り暮らししていて、アレが室内に出たのはたったの一回だったけれど、出たのは特大のやつだった。
それも隣の建物が工事で取り壊されているときだったのだけど、当時は15年ぐらい出ていなかったので(というか、独り暮らししていて初めてだった)、油断してショックがかなり大きかった。
震えながら当時付き合っていた人に電話をしたのだけど、その人はアレを日常的に見ることがない地方の出身だったせいか、実感に乏しくて、怯えまくっている私を、あろうことか笑ったのだ。

ただまぁ、ここまではよくある話だと思う。

そこから一ヶ月ほど経ったとき、今度はその人の部屋にGが出た。
そのとき、彼はめちゃくちゃ慌てながら私に電話をしてきて、すぐに来てくれ、殺虫剤ないからそれも持ってきてくれと言うのだ。
来てくれと言われても、彼の家までは小一時間かかる。
しかももう、部屋着に着替えてごはんも食べ終わり、そろそろお風呂に入ろうかという時間帯。
私が行ってどうなるものでもないので、行けないけど電話はつないでおくから、とにかく追い詰めて殺しなよと応援したら、「冷たいね、もういい」と電話を切られたのだった。

かなり焦っていたんだろうけど、今思うとろくでもない。
だけど私は、アレを見たことがない(かもしれない)人が、独り暮らしの部屋で丸腰で出くわした恐怖を思ったのと、後で自分が後悔しないために(彼との関係を維持するためにできるだけのことはやった、と思えるために)、そこからもう一度化粧をして服を着替えて、電車に乗ってその人の家に向かったのだった。殺Gスプレーを持って。

その一件は、私に、その人との結婚生活を思いとどまらせるひとつのきっかけになった。
彼が笑って取り合わなかった私のピンチが、いざ自分に訪れたときに、この人はこういうことになるんだ、と。
これは、ちょっと結婚できないかもしれないな、と。
それから色々あってその人とは別れてしまったのだけど、この出来事に象徴される彼の態度への判断は、正しかったなと今でも思う。

そんなわけで、私のG恐怖に対するパートナーの態度は、本当に別れる別れないに関わってくる問題なのだった。

アレに関わるものはとにかく目にしたくないので、ひんやりした記念に、アイスクリームの旗の写真でも載せておこう。

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