揚げ物の後の楽しみ

揚げ鍋を買ってから、夫と息子の希望で鶏の唐揚げを大量に作る日が時々ある。
鶏の唐揚げは買ってくるといつも取り合いになるから、家で作るときぐらいは思う存分食べたい、という気持ちは分かる。
揚げる手間は同じなので、作りおき分も含めて揚げ始めると、揚げる私はキッチンに張り付き状態になり、いつまで経ってもテーブルに着けない。
それで、大量揚げの日はキッチンスツールに腰掛けながらちびちびノンアルビールを飲みつつ、揚げながら出来たてをつまむ、というスタイルになった。
冷蔵庫がすぐ後ろにあるから、ビールがぬるくならないよう冷やしながら飲めるので、これはこれで便利。

全部揚げ終わる頃には油にもかなり色が付き、濾して使うほどではないかな...というくらいになるので、たいていそのまま凝固剤で固めてしまう。
そして、この固まった油をすくって捨てていくのが、私のひそかな楽しみなのだ。

固めた油をすくう感触って、何とも言えない。
ゼリーよりは寒天に近くて、断面がちょっとザラザラしている。
その大きな寒天の塊を、スプーンでちょっとずつすくっていくのが、かなりの快感なのだ。
何かに似ているけど思い出せない。でもとにかく快感。
一度息子にやらせてあげたら、息子もけっこうハマっていた。

最近、脳がゾワゾワするような心地良い音のことをASMR(アズマー?)音とか言うらしい。
耳かきのときのガサガサ音とか、焚き火のパチパチ音とか。
タッチパネルになる前、ひと昔前のiPodのダイヤル部分を回すカリカリ音とかもたぶんそうなんだろう。
固めた油をすくうのは、その触覚版と言えるかもしれない。
ASMR感触。
語呂が悪いな。