東京消防出初式(後編)

一気に江戸と化した会場で、江戸消防記念会の人々による「はしご乗り演技」が始まった。

本職は鳶の人が多いそうで、それも納得の、サーカスかと思うようなすご技が次々と繰り出される。

後ろで人々が手に持っている、巨大でんでん太鼓みたいなものは「纏(まとい)」というそう。
町火消しの、組ごとの旗印なのだそうだ。
かなり重そうなそれを、わっしょいわっしょいと軽々動かしながらワーッと繰り出す人々を見ていたら、「火事と喧嘩は江戸の華」とはこういうことかと合点がいった。
とにかく動きがきびきびしていて、祭りのようなのだ。

その後のプログラム「消防演技」もまた、派手なアクションショーのようだった。
左右に長い会場の右から順に、火災現場、危険物の災害現場、倒壊建物、高層ビル、と4つのコーナーが用意されている。
ひとつずつ順番に解説していくのかと思っていたら、なんと「大地震が発生して、いろいろな現場での同時並行の救出劇」。

私たちから一番近かった火災現場では、消防団が初期消火をして、緊急車両が駆けつけたと思ったら、今度はヘリが飛んできて、高層ビルへと向かっていく。
写真だと分からないけれど、ヘリから救助隊員がスルスルと降りてきて、ビルの屋上にいる人を吊り上げ、ヘリに収納するところまでを目の前でやるのだ。

高層ビルに取り残された人々は、はしご車でも救出。
近年建物が高層化していることが背景があるとのことで、後ろの方にタワマンが見えるのが、妙に説得力があるというか、ないというか(だってタワマンははしご車じゃ無理だし)。

そうこうするうち、今度は危険物タンクが爆発!
「真ん中の危険物タンクをご覧ください。まもなく爆発します」というアナウンスの後、「ボン!」と大きな音がして、炎と煙が上がる。
そこへ、なんだかすごそうな車両が登場し、タンクの上から放水。
これは民間の会社が保有する車両なのだそうだ。

最後は、かなり高いところまで伸びるはしご車が登場。
安定させるため、車両の周りに4本の脚が出てくるところ。↓

はしごがどんどん伸びていく。
高所恐怖症の人じゃなくても、たぶん普通の人は無理だろう。

そして、海上で色とりどりの水が放水されてフィナーレ。

なんかもう、全体に呆気にとられるぐらいド派手なイベントだった。
ニュースで知っていたのはほんの一部で、実際は予想の三倍ぐらい楽しかった。
こんなショーを無料で見られるとは...。

東京に住んでいるうちにしたいことのうち、これで二つは経験できた(皇居の一般参賀は結婚してすぐ、子どもが生まれる前に行ったのだ)。
あとは紅白歌合戦の観覧だけど、こちらは凄い倍率なので、当たる頃には東京生活も何年になっているやら。