imaginary town

出先でちょうどいい時間のバスがなかったので、一駅歩いてバスに乗ることにした。

初めて通る、徒歩15分くらいの道。
知っている場所に出るまで何十分もかかるわけでもないのに、
このまま全く知らない場所にたどり着いてしまいそうな、心許ない気持ちで夕暮れの道を急ぐ。

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初めて通る場所にも、当たり前だけれど人はたくさん住んでいて、家々が立ち並び、通り沿いに店々があり、ひとつの街の暮らしがあった。

東京は広いなぁと、こんなときにしばしば思う。
駅をひとつ離れただけで、そこにはまた違う暮らしがあり、違う文化があるのだ。

昔、児童書を読むのが好きだった。
本に出てくる子どもたちはまずほとんどが標準語をしゃべっていたから、本に出てくる町は私にとってはぼんやりと「たぶん東京あたりの町」で、抽象的な「想像上の町」だった。

いま東京の知らない町を歩いていると、その想像上の場所だった東京の町が急に具体的になって、とても不思議な気持ちになる。