江ノ旅②

お昼ごはんを食べ終えても雨はまだ降り続いていて、しとしとという感じではあるけれど、雨粒も大きくなってきた。
念のためにと持ってきたレインコートを長男に着せ、これまた念のためにと一本だけ持ってきた小さな折り畳み傘を私が差し(どうせならなぜ二本持って来なかったのかとこうなると思うけれど、天気予報は雨じゃなかったから、子連れで少しでも荷物を増やしたくなかったのだ)、次男を抱っこする夫が分厚めのバスタオルを上からひさしのようにかけて、とりあえず江ノ島の麓へと急いだ。

途中、エスカーのベビーカー置き場でベビーカーを回収(雨だとベビーカーは単なるお荷物...)、さらに江ノ島の入り口まで下っても止む気配がないので、ほんの4駅だけれどちょうど来たバスに乗ることにした。
江ノ島駅まで戻ってしまえばあとはひたすら江ノ電に乗るだけなので、その間に雨が止むことを祈りつつ。

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コトコト揺られること20分ほど。
終点の鎌倉に着く頃には小降りになっていれば...という希望はあっさり裏切られ、さてどうしようかとなった。
この日は江ノ電乗り放題切符「のりおりくん」を買っていて、藤沢-鎌倉間を通して乗ったら、あとは適当に途中の駅を選んでブラブラしようと思っていたのだ。
でも、ブラブラという感じでもないぐらいの雨が止む気配はない。
時間は14時を回ったところ。
鎌倉を発着する江ノ電を何本か眺めて写真を撮った後、「じゃあどこかでお茶して、あとは江ノ電で藤沢まで戻って、今日はそれで終わりとするか」ということになった。

駅からあまり離れたくないので、JR側に出て、少し歩いたところに見つけた歴史のありそうな珈琲屋さんに入店。
店内は、雨宿りをする人々でけっこう混んでいた。

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素敵な中庭に面した席に座ることができたので、大人と長男はゆっくりスイーツを、次男には持ってきたおやつのたまごボーロとミルクで糖分補給。
長男にケーキを選ばせてあげると、「まるちゃん、いつもこれが、たべたいんだよねぇ...」。
指差したのはモンブラン

あーそうそう、そうだった、いつも長男はモンブランを選ぼうとするんだった。
でもなんとなく、長男が想像しているモンブランは違う味ではないのかという気がして(モンブランって色が地味だから、子どもウケしないという先入観があるのだ)、食べてから要らないと言われたら嫌だなぁと思って、いつもそれとなく別のものに誘導していたのだ。
見た目に分かりやすいイチゴのショートケーキとか、フルーツが載ったタルトとか。
でも「いつもこれがたべたいんだよねぇ...」と言われて初めて、そんなに思っていたとは...(笑)と気づいて、今回は素直にモンブランを注文してあげることにした。

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「どう?」と訊くと「おいしい(にっこり)」。
そうか~。
これまで他のものに誘導してごめんね(笑)

そういえば、子どもの頃姉はよくモンブランを選んでいた。
私はモンブランを食べたことがなくて、というのも、あの細いクリームを巻いた部分が「そばみたい」と思えてしまって、なんとなく抵抗感があったのだ。
「そばが載ってるケーキ」としか思っていなかったモンブランを実際に食べたのは、二十歳を過ぎてからだったかもしれない。

ひとしきりゆっくりしたら、今ごろになって雨が少し小降りになってきた。
鎌倉駅に戻って、先頭車両の一番前(運転席のすぐ後ろ)を陣取るために一本見送り、藤沢行きの列車に乗った。
長男次男と夫は海側の席に、私は山側の席に。

ところが、大分歩いた長男も珍しくロングおでかけの次男も、糖分を摂ってお腹が満たされたのか、海が見え始める前にぐっすり。
「こんな特等席なのにもったいない!テツの風上にも置けない!」と言いつつ、せっかくなので席を交代して私が海側の窓際に陣取った。

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有名な鎌倉高校前を過ぎ、再び江ノ島が見えてきて、終点の藤沢が近づいてきた。
曇天の秋の江ノ旅ももうすぐ終わり。
いつも真夏の混んでる江ノ島にしか来たことがなかったけれど、秋の江ノ島は海風が肌寒いくらいで、暑さに弱い私としては初めて快適な江ノ旅だった。

今度は江ノ水に行きたいな。