栗しごと

道具というのが昔から好きで、幼稚園のときはいつも、機織りや編み物ができるおもちゃに憧れていた。
小学生の頃誕生日プレゼントにリクエストしたのは、あるときは顕微鏡、あるときは裁縫箱で、今考えるとどれも「そのもので遊ぶ」というより「それで何かができる」もの、つまり「道具」に心惹かれていたんだなと思う。
中高生の頃は、歴史の教科書で一番好きだったのが、章の終わりにおまけのようについている様々な農機具や発明品のイラストが載ったページだった。

大学で一人暮らしを初めてからは、一番身近な道具であるキッチン用品が収集の対象になって、ずいぶん失敗もしたけれど、いまだに懲りることなくいろんな道具を試してみたくなる。
三十代の頃は、アウトドアのいろんな道具(いわゆるギア)を使ってみたいがために、一時期ちょっとだけ山登りもしてみたり。

そんなふうに、最近は「○○をするための道具を手に入れる」より「この道具を使ってみたいから○○をする」と順序が逆転することもしばしば起こるようになった。

その逆転パターンで最近手に入れたのが、栗剥き。

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毎年栗が出回ると、何か作ってみたいなと思いつつ、剥くのが大変そうだな、そこまでして食べなくてもいいかな...と見送っていた。
世の中にはもちろん栗剥き専用のハサミみたいなものも売っているけれど、たいていプラスチックに金属の刃がついているもので、見た目にそこまで惹かれるものではなかった。
だけどこの栗剥きをたまたま知って、「これは使ってみたいし、持っていて嬉しい気持ちになる道具だ」と感じて、それほど高くなかったのもあって(送料を入れても1500円弱)、とうとう栗を剥くことにしたのだった。

きれいに紐が巻いてある持ち手の部分は、だんだん栗の渋がついて色が変わっていくそう。
そうなるまで何年かかるかは分からないけど、これから毎年、せっせと栗剥きに励むことになりそう。