旅の帰り、夜のドライブ

東名高速の沼津インターを入り、静岡を出る頃にはもう日はすっかり落ちていた。
今回の旅では高速のSAで使えるクーポン券みたいなものがあって、1000円分残っていたので、海老名SAで何か買って帰ろうということに。

道は比較的順調に進んだものの、海老名に着いてもまだ子どもたちがぐっすり寝ていたので、何かササッと買えるものを私が一人で見繕ってくることになった。
夫と交代でトイレに行った後、成城石井があったので、ちょっとお高めのバターとか必需品を買って車に戻り、またすぐに高速を走った。

小さい頃は車移動が常の家で、ちょっとした外食から買い物、旅行に至るまで、家族でのおでかけはほとんどいつも車だった。
私の席はたいてい助手席の後ろで、だからか今でも、電車やバスに乗るときは左の窓側が落ち着く。
夜になると、高速道路のオレンジ色の照明が、等間隔に過ぎ去っていくのをぼんやり眺めているのが好きだった。
一日の終わりの気だるさが車中に漂っていて、赤く続くテールランプを眺めているうちに、たいてい私は寝入ってしまう。
気がつくと地元商店街の入り口に来ていて、いつも同じ場所で目が覚めるのが、子ども心にも不思議だった。

結局子どもたちは家に着く直前まで起きなかった。
次男より先になんとなく目を覚ました長男は、しばらくあたりを見回して、どこかが分かった瞬間「もうこんなところなんだ」とちょっと驚いたように呟いた。
あぁ分かる、と思った。
ぐっすり眠り込んで、起きたらよく知っている場所に来ていたあの感覚を、長男も今、知りつつあるのだ。

夜のドライブの終わりとともに、夏休みが終わった。
「旅行前に始業式の持ち物を全部用意しておいてよかったでしょ?」という私の言葉に素直に頷きながら、長男は早々に布団に入った。

明日からはまた、平常運転の日々が始まるのだ。