たがいに疎であるところの人々

所用で出かけた先で、スタバが営業しているのを発見。
テイクアウトのみかな?と思って見たら、イートインもできると書いてあったので、前から気になっていた新ドリンク「アールグレイアフォガードフラペチーノ」をどうしても飲んでみたくなって、入ってみることにした。

席数を減らした店内はゆったりとして、営業再開と言えども、それぞれがたがいに密にならないよう注意して距離を取っているのだった。
Wi-Fiも飛んでいる店内で、ソファに座って久しぶりにまったり。

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6月からは、ずっと休園だった幼稚園も少しずつ開園していくことになった。
長い長い親子の密時間も、まもなく終わる。

帰り道、ふと見上げたらきれいな半月が見えた。

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求めるものが見えてくる

結婚して初めに住んだのは、二人暮らしでちょうど良いくらいの築浅1LDKだった。
息子が歩き始めてさすがに手狭になり、次の住まいを探し始めたとき、一番重視したのは広さ、次に間取りだった。

二人目が産まれることになって、なんとなくまた次の住まいを考え始めた。
次に重視したいのは、広さもあるけど、それよりも間取り。
今の家は寝室とリビングが引き戸一枚で隣り合う造りになっていて、大人が起きていると、子どもが寝るのがどうしても遅くなってしまう。

ひまに任せていろいろ検索していると、ちょうど近くで何軒かまとめて内見できそうな物件を発見。
実際に引っ越すには条件が合わないので見るだけだけれど、広さと間取りのサンプルとしてちょうどいい何軒かがあったので、今後の参考のために見に行くことにした。

1.うちより狭いけれど、部屋数が1つ多い物件。
2.うちとほぼ同面積・同じ部屋数だけど、配置が違う物件。
3.うちより広く、部屋数が2つ多い(細かく分かれている)物件。

タイプの違う何軒かを見ることで、広さ、部屋数、間取りのどれがポイントなのかが、もう少し見えてくるかな...と思ったのだ。

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その結果。
3(部屋が細かく分かれている)は、今の生活には合っていないことが分かった。
子どもが大きくなって個室が必要になれば、一部屋が小さくても個室が多い方がいいけど、今だとちょっと持て余してしまう。

意外にも一番よかったのが、今と配置しか変わらない2のタイプだった。
面積も部屋数も同じだけど、部屋の配置が違うだけで、こんなに使いやすくなるのかという感じ。
とりあえず今は他の条件もあってその部屋に引っ越すことはないけれど、引っ越すならここだなと思った。
と同時に、今の部屋の何が問題で何がいいのかも見えてきたのだった。

当面は、家具や配置を工夫して、今の部屋を使いこなすのが良さそう。
今の自分が何を求めていて、何は大事でないのか分かって、とても勉強になった。
見るだけなら無料だし、内見ってお得。

妊婦検診@8ヶ月

妊娠後期に入り、二週間ごとになってきた妊婦検診へ。

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今回は、もう何度目なの...という、妊娠糖尿病の検査も。
息子のときも、何度も引っ掛かっては検査の結果セーフ、というのが続いたけれど、やはり今回も同様だった。
食べたものが尿糖になりやすい体質のようだから、食生活には引き続き注意してね、ということで、無事無罪放免となった。

定期検診に加えて、結果が出るまで最低でも三時間はかかる血糖検査を同じ日にしたので、この日はなんと、病院を入って出るまで五時間半...。
しかも、検査のため前日の夜から水やお茶以外は飲食禁止。
さすがに何か食べて帰りたい...でも固いものは食べられない...ということで、久しぶりのスープストックへ。

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パンは小さく小さくちぎって、時間をかけて奥歯でモグモグ。

まだまだ警戒中のイートイン。
店員さん手書きのメッセージに癒されたひとときだった。

進化する夫の台所

前歯は見た目修復されたものの、打撲のダメージでものが当たるととても痛く、安静を言い渡されている。
うまくいけば一、二週間で痛みが治まってものが噛めるようになるみたいだけど、当面は柔らかいものしか食べられない。
奥歯が使えないのも不便だけれど、前歯が使えないというのはそれ以上に不便かもしれない。
何しろ「齧り取る」ができないから、食べ物を予め小さく切っておくか、手でちぎって口に入れるかしかない。
そんなわけで、私だけ別メニューを作らなくてはならず、とても面倒で食欲も落ちてしまった。

そんな私のために、夫がごはん担当の日にいろいろと工夫しておかずを作ってくれた。

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離乳食レベルのなめらかポテトサラダとカボチャサラダ、ふわふわの豆腐ハンバーグに、買ってきた茶碗蒸し。
冷え冷えのノンアルコールビール付き。
自分の(雑なお風呂洗いの)せいで私が怪我をしたこともあって、ここのところ夫はずっと当たりが優しい(笑)

STAY HOMEで夫も時間的・気持ち的に余裕があるのか、ごはんを作ってくれる回数も少し増えている。
最近何度かやっていた「プロフェッショナル仕事の流儀」の、プロが教えるおうちごはんスペシャルを見て、美味しいカレーを作ってくれたことも。

緊急事態宣言が解除されても、夫の料理意欲が続くといいなぁ。

真夜中の産科病棟

風呂場での恐ろしい転倒事故の後、しばらくして幸い胎動は確認できた。
それでひとまずホッとして、その後はとにかく折れた前歯のショックで呆然。

しかし寝ようとした段になってふと、「今は胎動があっても、お腹の中で何か異変が起こっていないとは限らないんじゃないか」ということにようやく思い至った。
調べてみると、転倒の後に胎盤剥離ということもゼロではないらしい。
胎動が弱くなったり出血があったりすれば受診した方がよいと書いてあったけれど、眠ってしまったらどちらも気づけない。

考えていたらどんどん不安になってきて、かかりつけの産科のある病院に電話してみることにした。
ただ、夜中なので救急外来にしかつながらない。
「心配なら受診してもらっても...」ということしか分からず、とにかく行ってみることにした。

5月にもかかわらず、寒い雨の夜だった。
息子が寝ているので夫は家で待機。
外出自粛もあるのだろう、人っ子ひとりいない夜の道を、一人タクシーで病院へ向かった。

人気の少ない真夜中の救急外来で待っていると、しばらくして看護師さんがやってきて、血圧や体温や血中酸素濃度を測り、問診を取ってくれた。
いったん引っ込んで戻ってきた看護師さんが、車椅子を押してやってきたのでちょっとびっくりしたけれど、あぁ、確かにもし何か起こっていたら歩かない方がいいもんな、それぐらいの事態だよなと、受診したことをようやく肯定できたのだった。

連れて行かれた先は、息子を産んだ、懐かしの産科病棟。
普通だったら、出産直前まで踏み入れることのない場所だ。
産科専門の機械は救急外来にはないから、病棟で診てくれることになったのだろう。

検診で一度当たったことのある女性医師が再び問診を取り、助産師さんが介添えをして内診台に誘導してくれる。
産科の病棟はもちろん24時間体制だから、医師も助産師さんも複数いて、それだけでもう安心だった。
合間合間に「大変でしたねぇ。びっくりしたでしょう」と女性たちが労ってくれて、ここへ来てやっと、緊張状態だった身体が少しほぐれたのが分かった。

内診の結果は異常なし。
続いて腹部エコーも丁寧に診てくれ、胎盤にも赤ちゃんにも異常の兆候は見られない、とのこと。
「すごく元気。元気に動いてますよ~」と画像まで撮って渡してくれた。

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あとは念のため、40分ぐらいかけてお腹の状態をモニターするということで、腹部にペタペタと線を貼ってつながれて、しばらく一人でボーッと過ごすことになった。
息子の出産のときにもつけた、陣痛を見るためのモニターと同じやつだ、たぶん。

真夜中の産科病棟は、昼間とは違ってざわついてはいないけれど、時々新生児の泣き声が聞こえる。
聞き分けられる声は二人ぐらいで、ということは、今の時期は赤ちゃんが少ないのかもな、と思った。
息子を産んだ時期はなぜか出産ラッシュだったらしく、たくさんの赤ちゃんが泣いていた。
真夜中でも昼間でもお構いなく赤ちゃんは泣き、お母さんたちは昼夜関係なく授乳をし、産科病棟には新生児と産婦たちの気配が24時間漂っていた。

新生児室の朝の風景を思い出す。
あれは、私がこれまで生きてきて見た中で一番幸せな光景だった。
朝は一斉に医師によるチェックがあるので、新生児たちは決まった時間、そこに集められる。
私も息子を連れて行くのだけれど、それはいつも立ち去りがたい光景だった。
あちこちから強い、弱い泣き声が聞こえ、甘い香りが部屋中に立ち込めている。
そして、ずらりと並んだ透明のベッドの中で、生まれたての何かが湯気を立てて動いているのだ。

あれは、まさしく「いのち」だった。
赤ちゃんというより、「いのちそのもの」が動いている光景だった。
毎朝これに立ち会う助産師さんたちは、絶対に寿命が延びるだろうと思ったほどだ。
だって、あんなにも濃厚な命の気配を浴びることなんて、普通に生きてたらまずないことだから。


...そんなことを思い出していたら、看護師さんが入ってきて、「はい、これで終わりですよ~」とお腹に貼られた線を外してくれた。
モニターの結果も異常はないとのこと。
念のため明日も一日気をつけて様子を見て、出血や胎動の弱まりがなければ、それでOKということになった。

来たときと同じ救急外来を、来たときとは違う安心感を感じながら外へ出る。
玄関前に何台かいたタクシーはいつの間にかいなくなっていて、大通りまで傘をさして歩いた。
交差点でつかまえたタクシーは、この辺りを全然知らないという若くて腰の低い運転手で、家までの道を私が案内しながら帰った。
降りるときにふと見たら、強力な接着剤で固めたみたいな不思議な髪型をしていた。
なんだか夢の中のようだった。

逃げるは恥ではなく役に立つ

世にも恐ろしい瞬間だった。

数日前の夜のこと。
いつもは夫が朝出勤前に掃除して夜には乾いている風呂場の床が、その日は夫が休みで洗うのが入る直前になり、床が濡れて滑りやすくなっていた。
そのうえ洗剤を流しきれていなかったらしく、一番風呂に入ろうと足を踏み入れた私は一瞬で足をとられ、アッと思ったけれどもうどうしようもなかった。
後ろ向きに転ぶのはまずいと咄嗟に思ったのか、体の向きを変え膝を立ててお腹を庇ったけれど、手はうまく間に合わなくて膝を立てたまま顔から床に着いた。着いたところがドアの桟だった。
血が出ているかと口の中を舐めた瞬間、前歯が折れているのが分かった。

衝撃だった。
お腹は幸い、膝を立てたのと脂肪のクッションで無事だったけれど、四十年近くつき合ってきた身体の一部が一瞬にして失われたショックはすごくて、その後しばらくは歯のことしか考えられなくなった。

運悪く、かかりつけの歯医者は翌日が定休日。
一、二度行ったことのある歯医者は他にあったけれど、以前行ったときになんとなく違和感があったこともあって後の方の選択肢に回し、明朝すぐに受診できる歯医者をいくつか調べた。
ほとんど眠れない夜を過ごし、朝になるとすぐに第一候補の歯医者に電話したら、とても冷たい声の受付に「早くても二日後になる」と言われ、前歯が折れて緊急だと説明するも「急患は受け付けていないので」と本当に冷たくあしらわれ、そこで既に心が折れてしまった。
第二候補も初めてのところだったので、また同じ対応をされたらと思うと腰が引け、一度行ったところならレントゲンも残っているし急患にも対応してくれるかもと、後回しにした候補に電話したら、他の予約の合間に受けてくれるとのこと。
ホッとして向かったのだけれど、これがさらなる悲劇の始まりだった。

他の予約の合間だったこともあるのか、それとも折れた歯のことは見れば分かるからか、ろくに話も聞かないで始まった応急処置。
そこまでは普通だったものの、最後の噛み合わせ調整でいきなり怒鳴りつけられた。
医者が言ったような噛み方をしなかったことを怒鳴られたのだけれど、その噛み方は痛くてできないと言うと、突然「それは最初に言わないといけない!」とさらに怒鳴られる。
関連することは最初に言ったのだけれど、「聞いてない!」の一点張り。
だってあなたろくに聞かずに処置始めたじゃない...と思いながら、じゃあ詳しく説明した方がいいのかと説明しかけたら、遮って「今日はもう時間がないからできない、次の予約を取って!」と言い捨て、隣の患者コーナーへ。
呆気にとられつつ、衛生士さんに気になったことを少し聞こうとしたら、戻ってきて口を挟んでくる。
これは今何を言っても仕方ないなと、待合室に戻って次の予約を取っていたら、また(他の患者の治療中なのに)受付までやってきて、「さっきの件は聞いていない。最初に言わないといけない」と繰り返す。
私が「最初にかくかく然々と言ったんですけど」と言うと「いや、聞いてない!」とまた声を荒げる。

あぁ、これはヤバいやつだ...と、ここへ来てやっと理解した私。
以前感じた些細な違和感も、実はこれに関連していたのだと、ようやくつながってきた。

以前の違和感というのは、とにかく予約の取り方が独特なのだ。
普通は受付に任せるようなところを、受付が逐一治療中の医者に確認に来る。その都度細かい修正が入る。
今回私が次の予約を取るときも、何度も受付が治療中の医者と往復して、その都度他の候補日を聞かれ、また受付が医者に確認し...を繰り返して、ようやく決まったのだ。
要するに、すべて自分の支配下に置きたい人間、他人が自分の思惑と違う動きをするのが我慢ならない人間なのだ。
だから、「聞いてない」(と本人が思う)ことにあそこまで異常に反応するのだ。

聞く耳を持たず相手(しかも患者)を恫喝するような、それも普段の態度から豹変してそういうことをするような人間は、DV男と同じで、よほどのことがない限り変わることはない。
そういう人間から身を守る最良の選択肢は、「とにかく近寄らないこと」だ。
知らずに近づいてしまった場合には、「気づいた時点で全速力で逃げること」だ。
それしかない。

これまでの人生で何人かそういう人間に出くわして、何度か失敗を重ねて、そのことを痛感するようになった。
「ヤバい人間から逃げる素振りを見せると、余計ヤバいことになるのではないか」と躊躇って逃げ遅れたことが何度かあるのだけれど、それはさらなる傷を負うことにしかならない。
ヤバい人間からは、とにかく一刻も早く逃げなくてはならないのだ。
その一瞬の判断で、傷の治りが数年違ってくることだってある。

結局私は、以前のかかりつけ(と言っても今は遠方になったところ)に途中から治療をお願いし、ヤバい歯医者の予約はその後すぐにキャンセルしたのだった。

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写真は、折れる前の歯で食べた(結果的に)最後となった食事。

万年工事中

所用で御茶ノ水へ。

御茶ノ水はここ数年ずっと大規模な工事が行われている。
子連れにとっては、エレベーターができたのがとっても大きい。
以前はエスカレーターすらなくて、妊娠中は休憩しながらでないと階段を上るのも大変だったし、ベビーカーのときは必ず、多少遠回りになっても御茶ノ水では降りないルートを選んでいた。

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変わりゆく東京の風景の記録。