そうか、もう超えたのか。

夜の後片付けをすべて終え、布巾を煮洗いしていたら、ふと思い至った。
実家以外で一番長く過ごした京都での年数より、東京で暮らした年数の方が長くなっていたのだ。

そうか、とうとう。
もう超えたのか。

最近始めた、夜にやる布巾の煮洗いタイムは、ちょっとしたリラックスタイムになっている。
少し前に布巾を新しくしたのをきっかけに、時々やり始めたのだけれど、布巾がいつまでも白いままで気持ちがいい。
ホウロウのたらいに水を張り、酸素系の漂白剤を小さじ1杯ぐらい入れて溶かしたら、あとは布巾を入れてグツグツ煮るだけ。
数分煮た後は火を消してそのまま朝まで放置しておくのだけれど、その、湯が沸いて数分グツグツ煮る時間にいろんなことをボーッと考える。
脳がリラックスしている感じ。
何かをボーッと眺めるというのは家の中にいるとなかなか難しいけれど、布巾を煮るのは火加減を気にしなくても焦げ付くことはないし、ボーッと眺めるのに最適だ。
きれいになっていっている(であろう)布巾を見ながら、夜のこういう時間は長いことなかったな...一人暮らしのときは時々あったかな...などと考えていたら、東京で暮らした年数に思い至ったのだった。

東京に来て、11年半を少し超えた。
たぶんこのまま、少なくともあと10年はいるだろう。たぶん。
そうしたら、東京暮らしが一番長くなる。
子どもと自分の育った土地が違うというのは、不思議と言えば不思議な感じだ。
子どもたちが将来出身を聞かれたら「東京」と答えるのだと思うと、「何それ!都会っ子か!(笑)」と思う。
まぁ、東京の郊外だけどね。