冬の能登②一日目 のとじま水族館/久々に震える

飛行機に引き続き、二週連続の水族館。
水族館や動物園好きの私だけれど、さすがにここまで連続して水族館に行ったのは初めてだ。

のとじま水族館については、今回の旅行で知るまで聞いたことがなかったから、正直あまり期待していなかった。
が、これが意外に良かったのだった。

まず、入り口でいきなりジンベエザメに出会える。
たぶんジンベエザメとしては小型の方だろうけれど、他の水族館と違うのは、大きな水槽を上から直接眺められる場所があること。
入り口の地点が一番上で、そこから水槽の周りを螺旋状に下りながら、いろんな深度から魚たちを見られる仕掛けになっている。
ジンベエザメを上から見ることはなかなかないから、夫はこの水槽で既にのとじま水族館のファンになったようだった。

平日昼間、かつ大雪なので客はほとんどいないかと思いきや、外国人とおぼしきカップルや、地元の学生同士っぽい子たちも意外といる。
それでも水族館としてはめちゃくちゃ空いていて、ひとつひとつの水槽をマイペースに見て回ることができた。

この水族館、生き物がなぜか普通よりアクティブ。
けっこうあちこちの水族館を見てきた私が言うのだから間違いない。
ミズダコは高速で水槽中を移動しているし(「タコってこうやって移動するんだ!」とみんなで釘付け)、普通はじっとしているウツボも大きく口を開けて岩の間から出たり入ったりしている。

「なんでこんなアクティブなんだろう?水温とか関係あるのかなぁ?」と夫と不思議がりつつ、生き物をさわれるコーナーでナマコやヒトデを触って「ヒィ~!」とはしゃいだり、角質を食べるドクターフィッシュを初めて経験した息子の表情をカメラに収めたりしていたら、あっという間に二時間以上経っていた。

もうちょっとゆっくり見たかったけれど、暗くならないうちに宿に着きたいので、水族館を後にして一路輪島へ。
水族館と輪島は空港を挟んでちょうど反対側にあるので、来た道を戻り、さらに(通常なら)30分ほど走る。
ただ雪道なのでかなりゆっくり走り、輪島に着いたのはトワイライトタイムだった。

今回の宿は、小さな民宿。
街中心部の入り組んだ場所にあって、入り口側が小さな路地になっていたので、入るまでが予想外に大変になった。
水族館を出てからも雪は降り続き(というかこの日はほとんど止まなかった)、除雪されている場所もすぐに轍が薄くなるほどのけっこうな積もり方。
宿の駐車場に入るまでに二回小さな角を回らなければならず、さらに駐車場がものすごい雪になっている。
近くから電話すると宿のおかみさんが出て来てくれていて、外に出た私と一緒に車を誘導&あっという間にまた積もったのであろう雪を雪かきしてくれた。

ちなみに、私が外へ出て誘導できたのは、履いてきたスノーブーツのおかげ。
今回、ほとんど車移動だし、空港の検査場での脱ぎ履きの面倒さを考えてだいぶ迷ったのだけれど、直前に「まぁ防寒も兼ねてこっちにするか」と決めたのが、大正解というか、普通の靴にしていたらえらいことだった。

このスノーブーツはソレルのカリブーというモデルで、十年ぐらい前、確か冬のフィンランドに行くときに買ったのだったと思う。
北海道出身の友人の強いオススメで、すべりにくい・あたたかい・見た目も良くてとにかく最強というので、他より少々値は張るけれど買ったのが、この十年、時々大活躍している。
深い雪の中でもザクザク歩けるから、積雪地域に行くのが全く苦でなくなる。
普通の長靴だと、雪のときは寒さで指先がかじかんで使い物にならないので、ボアつきインナーが付いたこのブーツは、防寒の面でも本当に重宝している。
今回夫はブーツですらない、普通のスニーカーだったから深い雪は歩けなくて、私がブルドーザーのように先に進んで足跡をつけ、その後を夫が踏んで歩く、という方法でなんとか乗り切ったのだった。

そんなわけで、一足先に車外に出て車を誘導し、荷物やら子どもやらを運んだわけだけれど、これがまぁ、久々に震える寒さだった。
ダウンの下に分厚いセーターも着込んでいたのに、雪に加えて風も強く、気温はマイナス2度くらい、体感温度はもっと低かったと思う。
ほんの2,3分外に出ていただけで「寒さで歯の根がカチカチいう」というのを久しぶりに味わった。

建物に入ると風の音が一気になくなり、生きた心地に。
とにかくまず部屋へ上がって、お茶を淹れてあたたまった。
そうこうしているうちに外はすっかり暮れ、雪は降り続き、どんどん積もっていった。