秋冬に聴きたくなる人

滅多にYouTubeを見ない私だけれど(動画全般が時間を食うので苦手)、この間家で貴重な一人時間が急に数十分できて、ふだん子どもや夫がいたらできない何かをしようと慌てて考え、ふと「そうだ、音楽」と思い立った。
それも、イヤホンではなく部屋の中でのびのびと。

なんとなく宮本浩次のある曲を聞きたくなったので(秋だから?)、せっかくだからMVで見ようと、TV画面でYouTubeを検索。
そうしたら何年か前の曲で知らない曲のMVがリコメンドされてきたので、へぇ、何だろうこれ...と思って見たら、見事にハマッてしまった。
ドラマの主題歌でもあったらしい「冬の花」。

https://youtu.be/iQhRmQWwDYs?feature=shared

オープニングの、風車の回る夜明け前の風景に、もう心を掴まれた。
宮本浩次は本当に、寒そうな景色がよく似合う。
曲の進行と車のギアをシンクロさせた映像も、すごくいい。

謡曲とロックと、ほんの少し演歌テイストも入っていて、ちょっと小泉今日子の「木枯らしに抱かれて」ぽさもあり、どこかTHE YELLOW MONKEYぽさもあり。
「悲しくて泣いてるわけじゃない 生きてるから涙が出るの」のくだりは吉井和哉の歌詞にあってもおかしくないな、そういえば宮本浩次吉井和哉ってつながりあるんだっけ...と検索してみたら、めちゃくちゃ若い頃の対談の写真が出てきた。
やっぱり面識はあるんだな。

宮本浩次吉井和哉も同じ1966年の生まれで、この年の男性ミュージシャンにはなぜか好きな歌い手が多い。
斉藤和義も1966年だし、トータス松本も1966年。
中学高校のときハマっていたTHE BOOM宮沢和史も同じ年だった。
不思議。

十数年前東京に来て以来、街で芸能人を見かけることがたまにあったのだけれど、その中で断然嬉しかったのが宮本さんだった。
平日の昼間というちょっと珍しい時間に、遅い出勤で電車に乗っていたら、たまたま目の前に立っていたのだ。
最初は全然気がつかずにその人の前の空席に座ったのだけれど、周りの人がどうもチラチラこちらを見ているのを不思議に思って視線を追うと、斜め前に立っていたのが(おそらく)彼だった。
「あれ...この人はもしや...」と思った瞬間、その人は読んでいた文庫本から目を離さないまま、急にドア際へ移動を始めた。
動きがどう見ても不自然なので(本から頑なに目を離さない、空いていてほとんどの人が座っているのに立っていて、駅でもないのに急に移動開始)、逆に目を引いて、私も思わずじっくり見てしまった。
出で立ちはTVに出ているあのまんまという服装だったし、たまたまなのかは分からないけれど、乗っていた路線も彼の出身地につながる路線だったから、まず間違いないと思う。

当時はたまたまあんまり最近の彼のアルバムを聴いていなかったから「おぉ~!」と思っただけだったけれど、よく聴いている時期だったら、興奮して挙動不審になっていたかもしれない。
冷静なときでよかった。

あの遭遇はいまだにひそかな自慢。