うっすら

久しぶりにゆっくり一人ランチ。
どこに行こうかなと考えて、食事もデザートもおいしいあるお店が浮かんだのだけれど、「いややっぱり...あそこは今日は混んでいて嫌な思いをしそうだからやめとこう...」と、別のお店に行くことにした。

食事もデザートもおいしいそのお店には、三回ほど行ったことがある。
その三回ともで、なんとなく、うっすら、嫌な思いをしたのだ。

一度目は、食事の途中に(私だけでなくすべてのテーブルに聞いて回っていたのだけれど)「近くの○○に自転車停められてませんか?」と聞かれたのだ。
どうやら、そのお店のお客がいつも迷惑駐輪をするスポットがあるらしい。
私は自転車では来ていなかったのでもちろん否定したけれど、その聞きに来るときの口調が、「誰が停めているかを見つけようとしている」というか、そこにいる誰かが停めている前提のような感じだったのだ。
普通なら、というか配慮のあるお店なら、「違うとは思うのですが、念のため...」という態度を滲ませると思うのだけれど、そうではなかった。
なんとなく、「疑われた」という思いがこちらに残ってしまうような聞かれ方だったのだ。

二度目は、ドアを開けたら満席だったとき。
待ち時間の目安を聞こうと店員さんを呼び止めようとしていたのだけれど、ドアが開いているにもかかわらず全然こっちに来てくれなくて、やっと来てくれたと思ったら、「満席です」と見たら分かるようなことだけを言われたのだ。
「長くかかりそうですか?」と聞いたら「今まだ(オーダーしたものが)出ていないので...」とだけ言われ、特に時間の目安は教えてもらえなかった。
愛想が悪い、というほどには悪くないのだけれど、忙しそうで、なんとな~く、うっす~ら、歓迎されていない感じがして、結局そのときは他へ行った。
よく考えたら、接客業で「歓迎されていない感じ」を客に抱かせるって、どうなんだ。

三度目のことは説明が面倒なので省略するけれど、総括するとそのお店はたぶん、「作り手」のプロであって「接客」のプロではない人たちがやっているのだ。
もともとの成り立ちもそんな店で、テイクアウトオンリーだったのが、人気過ぎて行列ができ、イートインスペースから進化して、中で食べられるお店になった。
だから飲食店としての接客は差し引いてあげたいところなんだけど(味は美味しいし)、やっぱりこちらに余裕があるときでないと、ちょっと行くのに身構えてしまう。
同じお金を払うなら&めったに取れない一人時間なら、居心地のいいお店で過ごしたいのだ。

それで思ったのだけれど、「うっすら...(ネガティブ)」というのは、はっきりネガティブよりも後を引く。
「うっすら失礼な人」とか、「うっすら敵意を感じる」とか。
「こちらの勘違いかもしれない...いや、でも...」という感じで、なんか気づくと長時間考えてしまっていたりするのだ。

「名もなき家事」に名前がついてその負担感が知られるようになってきたように、「うっすら失礼」とか「うっすら向けられる敵意」にも、「これがそうだ!」という具体例が共有されて、遭遇したらすぐに「これは勘違いじゃない、よく言われてるアレだ!」と分かるようになればいいのに。