きのう何食べた?season 2

きのう何食べた?season 2」に、案の定ハマっている。

四年前の最初のシリーズは、「ゲイカップルの同棲」「お料理ドラマ」という点がたぶん一番強調されていたのだけれど、今回のseason 2ではそれらはもう当たり前の背景になって、代わりに「年を取っていくこと」が前面に押し出された。
特に、同性カップルという法的にまだ守られていない家族が、社会とどう関わりながら年を取っていくのか、みたいな点も描かれていて、とても興味深い。
原作の漫画がそうなのかな。読んでいないから分からないけれど。

「油っこいものが食べられなくなってきた」とか「老眼」とか「夜更かしがきつい」といった身体的変化ももちろん「分かる~(笑)」なのだけれど、直近回の「同級生が、不慮の事故とかじゃなく病気で亡くなる年になった」というのは、しみじみと身につまされる思いがした。
幸い私はまだ同級生のそういった死には出会っていないのだけれど(若い頃の不慮の死は何度かあった)、これからそういうことが身近になっていくであろうことは想像できる。

そんな、精神的負担のあったであろうお葬式から帰ってきたシロさんに、「少しは食べてきただろうから」と、土鍋で煮込んだ熱々の鍋焼うどんを用意していたケンジの優しさには、本当に癒された。
シロさんの言うように、まさに「今日みたいな日には最高のメニュー」だっただろう。

それにしても、二人の住むマンションが「事故物件」だったのには笑ってしまった。
合理的なシロさんらしいし、話としてもリアルだ。
最近のドラマを見ていて感じるのが、主人公たちの住んでいる部屋のリアリティのなさ。
明らかに20代一人暮らし、収入も標準的と思われる登場人物が、何部屋もある、設備もしっかりした賃貸に住んでいる設定とか、「都心の一人暮らしでこのマンションはないわ!」と思ってしまう。
綺麗で新しいけど、こう見えてまさか木造?それか、中はリフォームされてるけど築年数がめちゃくちゃ古いとか?あ、もしかして借り上げ社宅?と余計なことが気になって仕方ない。
(そういう意味では「いちばんすきな花」のあの大きな借家も謎。最新話まで見てないからなんか理由があるのかな?)

リアリティーがあると言えば、「パートナーシップ宣言」なんていう時事ネタを取り入れているのも、このドラマが架空のファンタジーでなく、リアルな社会問題にも向き合おうとしているんだなと好感が持てた。
法的に守られていない家族(内縁関係とか)にとっての老後問題というのは、もっと社会的に知られておいていいだろうし、自分としても知りたい。
介護とか、看取りとか、相続とか。

お正月を描いた回では、家族とのつながりが薄いゲイカップル二組が集って、「これからは毎年こうやってお正月を過ごしましょうよ」という話が出る。
いいじゃんいいじゃん、と思った。
イカップルだけじゃなく、元々の家族とのつながりが薄い人たちにとっても、「毎年恒例の集まり」はきっと素敵だろうなと思った。

晦日からオールナイトで初詣、という高校時代を過ごしたケンジと、そういう夜遊び経験なく、毎年家族で元旦午後に初詣、というのをルーティンにしてきたシロさんとのズレも、「そうそう、他人同士が家族になるってこういうことだよな...」としみじみした。
育ってきた環境も、生まれ育った家族の習慣も違う他人同士が、そのどちらでもない新しい習慣を作っていくのが、家族の楽しさ、面白さだ。
子どもがいないシロさんとケンジのカップルを見ていると、必要性に迫られてではなく、彼らが純粋に「これがいい」と思える過ごし方を選んでいっている感じがして、こっちまでなんだかワクワクしてくるのだった。

きのう何食べた?」も「孤独のグルメ」みたいに、長いシリーズになることを願ってやまない。