グレースの履歴

今期もいくつかドラマを見ている。
朝ドラは、「らんまん」の他に再放送の「あまちゃん」も見ていて、らんまんは録画を溜めがちだけれど、あまちゃんは子どもたちも一緒に毎日楽しみにしている。
あまちゃんはリアルタイムで見損ねて唯一後悔している朝ドラだから、再放送で見られるのはとてもラッキーだった。

他には、話題の「あなたがしてくれなくても」もなかなかおもしろいのだけれど、断トツで良かったのはBSプレミアム「グレースの履歴」。
先日終わってしまったのだけれど、終わるのが惜しいくらい、とってもいいドラマだった。

あらすじとしては、妻を不慮の事故で亡くした夫が、遺された妻の愛車のカーナビ履歴を見つけ、その場所を順に巡っていくというロードムービーだ。
その過程には謎解き要素もあり、旅気分を味わえる要素もあって、見ていて飽きさせない。

映画のジャンルで私が一番好きかもしれないのがロードムービーなので、「カーナビ履歴を辿る旅」という設定だけでもう楽しめること確定のドラマなのだけれど、このドラマはそれに加えて、役者と音楽がとても良かった。
主役は滝藤賢一尾野真千子で、その二人もまぁ十分いいのだけれど、主役を完全に凌駕するぐらい良かったのが宇崎竜童。
年老いた腕利きのバイク修理工という役柄なのだけれど、完全にそういう人にしか見えないし、人生経験の豊かさが滲み出ている。
重要な役どころで出てくる柄本佑も安定の演技だし、旅の途中で現れるヒッチハイクの青年、林遣都もびっくりするぐらいハマっていた。
ちょこっと出てくる木村祐一とか、名前は知らないけど朝ドラ「カムカムエヴリバディ」で映画村の社員をやっていた人もちょこっと出ていて、印象的な演技。
何より脚本がとても良くて、展開も素晴らしいし、ひとつひとつのシーンがよく練られている。

そして、音楽。
ドラマ音楽というのは、そのドラマの印象を大きく左右するなと最近思う。
いいドラマというのは、必ず音楽とセットで思い出される。
最近だと「エルピス」とか、今再放送で見ている「あまちゃん」もそう(どっちもたまたま大友良英)。
「グレースの履歴」も、エンディングで車の映像と一緒に流れる曲が、何とも言えずいいのだった。

いいドラマは生活に彩りを与えてくれる。