40年の時が流れ

幼稚園から、「秋冬はお弁当を暖飯器に入れるので、温め可能なお弁当箱を持ってきてください」というお知らせが来た。

「暖飯器」という言葉を、恥ずかしながら初めて知った。
よく考えてみれば、それ自体はたとえば入院中に病院で見ていたと思うのだけれど(病院のごはんはいつも温かったから)、その器具の名前なんて考えてみたこともなかった。
なんにでも名前はあるものだ。

いま使っているお弁当箱も温めはおそらくできると思うのだけれど、幼稚園が推奨しているのは、アルミ製のお弁当箱。
それなら、わざわざ買うまでもなくうちにあった。

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40年前のお弁当箱。
姉と私が幼稚園の頃に使っていたものだ。
姉がドラえもん、私がこの猫のキャラクター。
この猫、いま見るとどう見てもミッフィーとキティちゃんのまがいものでしょ...と思ってしまうけれど、便利なインターネット時代に調べてみたら、なんとれっきとしたベルギーアニメのキャラクターだった。

十年ぐらい前実家に行ったとき、ただ保管してあるだけの荷物の多さにげんなりして、終活だと思って今からちょっとずつ物を捨ててくれ、と母親に言ったことがあった。
実家に滞在している間に自分もできることは手伝っておこうと、いろんな場所をチェックしていたら、台所の吊り戸棚の中からこのお弁当箱を見つけたのだ。

これはもう使わないだろう、仮に子どもができても、今はもういろんな便利なお弁当箱があるし...と思ったのだけれど、
一方で「このレトロさはかなりプレミアがつくのでは...」という気がして、結局使うあてもなかったけれど、当時独り住まいだった東京の家に持ち帰った。

それが、こんな形で日の目を見るとは。

あのとき捨てずに置いておいて、本当に良かった。
40年前の物をこうしてもう一度現役で使えることは、なんだかとても嬉しくて、心が暖まる。