バレバレバレンタイン

今年は日曜日だったバレンタインデー。
毎年何か用意するわけではないけど、今年は息子も4歳でだいぶ物心がついてきているし、幼稚園もお休みの日なので、遊びがてら一緒にチョコレートケーキを作ってみることにした。

いつも行くスーパーで前もって手作りキットを買っておいたのだけれど、直前に買い足すもの(牛乳とか卵とか)があったかどうかを忘れてしまい、出先から夫に「どこそこにチョコレートケーキのキットがあるから、材料のとこを撮って送って」とメール。
夫には一応ナイショでサプライズのつもりだったけど、まぁいいかと簡単にバラしてしまう、結婚6年目のバレンタインデーであった。

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バレンタインデーの手作りといえば、中高時代を思い出す。
一番仲の良かった友達がお菓子作りの得意な子だったから、だんだんその子の家に集まって、一緒にお菓子を作るようになった。
私の母はお菓子を作るような人ではなかったし、家にオーブンもなかったけれど、その子の家には大きなガスオーブンがあって、何より人がよく出入りするオープンな家だったから、彼女の家でお菓子を作るのはとても楽しかった。
板チョコを細かく削って溶かす、という工程を知ったのもそのときが初めてだった。
「固まってるものを溶かしてまた固めるって、なんじゃそら(笑)」と思ったのを覚えている。
うちから二時間かけて行く彼女の家(私立だったので友達は皆いろんなところから通ってきていた)は、底冷えのする盆地にあったから、猛烈に冷え込む2月のその家の寒さを覚えている。
それでも、十代の女の子たちの華やぎと、時々手伝ってくれる明るいお母さんのおしゃべりと、甘いチョコレートの匂いで台所は十分あたたかかった。

かつてはなんとなく「娘と作るバレンタインデー」を思い描いていた私は、予想外にも「二人の男児」の母になった。

女の子も育てたかったこの島にハルちゃんモモちゃんのこと忘れない

「女の子も育てたかった」という俵万智の言葉に思わず頷いたりもするけれど、男の子でも女の子でも、とにかく子どもを持てて良かった、二人の子どもに恵まれて本当に嬉しい、と毎日のように思っている。
そして、娘でなくてもこうして一緒にチョコレートケーキを作りたがってくれる息子がいるから、バレンタインデーは私にとって、まだしばらく現役のイベントであってくれそうだ。