器道楽

十年ぐらい前からずっと欲しかった、けどなかなか入手しづらくて諦めていた因州中井窯の器が、何年かぶりに東京で展示即売されると知ったのは、会期が始まった直後のこと。
初日が三連休で、既に半分ぐらいは旅立ってしまったとSNSで知って気が気でなかったけれど、たまたま夫が家にいて一人で行けそうな平日が一日だけあり、用事の隙間を縫って駆けつけたのだった。

あ~~、素敵。素敵すぎる。
入り口でもう、胸が高鳴ってしまった。

あ~、おちょこも可愛い。小鉢にしたい。
カップ&ソーサーも可愛い。全部可愛い。

染め分け皿で有名な中井窯は、鳥取のかなり辺鄙なところにあるようなのだけれど、一度行ってみたいなぁと思っていた。
この水色がとても好き。
染め分けの配色も絶妙で、見ていて飽きることがない。
色合いが派手な割にはどんな食材も受け止めて活かしてくれそうで、いいなぁ、欲しいなぁと思い続けてきた。

三色の染め分け皿は早々に売り切れてしまったようで、二色しか残っていなかったけれど、二色は二色でまたいい。
絶対にどれかは連れて帰ると決めていたけれど、実際に手に取って重みや厚みを確かめていると、やっぱりしっくり来る大きさや形というのがおのずと決まってくる気がする。
だからこそ、こうして足を運びたいのだ。

小さめの丸いお皿を手に取ったときに、載せているもののイメージが一番たくさん浮かんだので、まずはそれを色違いで二枚セレクト。
そして、結婚してからもずっとちゃんと買っていなかったお茶碗を、ついにここで買うことにした。
中井窯の染め分け皿にお茶碗があるのかどうか知らなくて、いつか鳥取を訪ねて訊いてみよう...と思っていたのだけれど、お茶碗はあっさりそこにあって、しかも形がとても好みだった。
手に持った感じもしっくり来る。
何より、白米を盛ったところがありありとおいしそうに想像できる。
思っていた以上に理想的なお茶碗で、こちらも色違いで二個買うことにした。

三色染め分けは買えなかったけれど、パターンの違う二色を並べると、三色が揃うことに気づいた。
これもこれでいいじゃないか~。

あとは、染め分け皿のイラストが描かれた手拭いも売られていたので、これは可愛い!と手拭いもお買い上げ。
テーブルランナーとかにしても可愛そうだ。

かなりの出費にはなったけれど、こんなにずっと欲しかったものを思い切って買えないぐらいなら、何のために働いているのか分からないぜ...となぜかワイルドになりながらカードを切る私。
丁寧に包んでもらって、ホクホクしながら店を出た。

中目黒まで来たので、ちょうど歩いて行ける範囲にあるうどんのおいしいお店を思い出して、そこでランチを食べて帰ることにした。

おいしいうどんを食べながら、写真を見返しつつ、さっき見た数々の器を思い出す。
あぁ、可愛かったなぁ。
実際見られたのも嬉しいし、お目当てのものを連れ帰れたのも嬉しい。
買ったときが頂点ではなく、使っている間に何度も何度もいいなぁと思えるのが、器のいいところだ。

帰宅して翌日、まずは使い始めの目留め作業をして、早速使い始めた。
一枚で使っても可愛いし、想像通り和洋何を載せても様になる。
全然大したごはんでないのに、フォトジェニック。

今回買えなかった三色の染め分けは、またいつか行きたいと思っている、鳥取への焼き物探訪のモチベーションになった。

それにしても今年は、例年になく器を買っている。
買いまくっていると言ってもいい。
今年だけで十枚近く器を増やしている。
なのにまだ欲しい器があと二種類はあって、悩ましい...。
さすがに今年はもう、打ち止めにしておく(つもり)。