南紀白浜旅⑤ 駆け足の最終日

最終日は11時に白浜を発つ予定で、それまで朝の二、三時間をフル活用することにしていた。
ただ、毎度のことではあるけれど、初日から予定を詰め込みすぎて大人も子どももさすがに疲弊。
結局予定を大幅オーバーしての活動開始となった。

まずは朝ごはんがてら、白浜銘菓と言われるお菓子の本店カフェへ。
海に面したロケーションと、ここでしか食べられない生菓子が目当てだった。

銘菓と言われるお菓子はいわゆるブッセみたいなお菓子で、まぁおいしい。
ロケーションも、(思ったほど開放的ではなかったけれど)まぁいい。
問題は、駐車場のあまりの停めにくさだった。
とにかく車を詰め込みすぎ。
間口も奥行きも狭いのに大きな柱があったり、歩行者の動線が確保されていなかったりで、どの車も出るのも入るのもめちゃくちゃ苦労していた。
座席も間隔が狭く、「一人の方は一人席でお願いします」という店員さんの指示もあいまって、なんかゆとりがない印象が強く残ってしまった。
タイミングもあったのかもしれないけど。

カフェを後にして、知人がおすすめしていた「京都大学白浜水族館」へ。
一日目の串本で水族館に行けなかったから、なんとなくそのリベンジという感じで行ったのだけれど、小さいながらもローカルに密着した展示という感じで、意外に長居してしまった。

中もよかったけれど、外のロケーションが最高で、すぐ横に海岸が。

時間があれば、子どもたちを連れて磯遊びしたかった!
でもこの後、景勝地である千畳敷と三段壁を回る予定だったので、先を急いだ。

ちょうどトライアスロンの最後の種目であるランが行われている海沿いの道を、片側通行で走っていく。
夫はすれ違う選手を見て「がんばれー!」とか「ここはキツいわ、分かる~」とか言いながら運転。
「よく考えたら、いつも自分が出てるから、人がトライアスロンしてるとこ見たことなかったわ。しかもこんな間近で」とも言っていて、確かにな~と思った。

まもなく千畳敷に到着。
ただ、子どもたちがほんの数分の間にぐっすり眠ってしまった。
まぁ無理もない。
わざわざ起こすのもかわいそうなのと、時間もあまりなかったので、夫と交互に行ってサラッと見てくることに。

でも実際見てみると下の方まで降りられることが分かり、お天気も良かったので「うゎ~、これは下まで行きたかった~!」と思いながら夫と交代。
この頃にはもうだいぶ時間が押してきていて、夫も一瞬だけ見てすぐに戻ってきた。

さらに数分のところにある三段壁へ。

ザ・景勝地という威風堂々の絶景。

子どもたちは相変わらずぐっすりだったので、ここも夫と交代で見に行く。
自分が子どもの頃も、旅行に行くとちょこちょこ眺めのいいところで車を降ろされ、「え~また降りるの~」とすごくめんどくさかったことを思い出した。
大人になるとそれが面倒でなくなるのは、自分が主体的に計画したり運転したりしているからだろうか。

千畳敷や三段壁、地形的にも興味深くてもっとじっくり見たかったのだけれど、この頃には既に予定を一時間近く過ぎていて、さすがにもう大阪へ向けて出発しないと帰りの飛行機がヤバくなってきた。
子連れなので二時間前に空港に着く予定にしていたのだけれど、カーナビの到着予定時刻は約一時間前になってしまっている。渋滞があったら終わりだ。

そこからは一路、関空を目指した。
幸い道は空いている。
ただ、夫が途中で「そうだ、ガソリンスタンドがややこしいんだった...」と思い出した。
普通、レンタカーの返却場所近くにスタンドがあるものだけど、関空のレンタカーは、なんと連絡橋を渡ってしまうとスタンドがないのだそう。
なので、橋を渡る前に高速を一旦降り、下道のスタンドを探さなければならないという。
なんでそんなめんどくさいシステムなんだー!

最初にレンタカー屋さんでもらった周辺のガソリンスタンドマップと、スマホで起動したGoogleマップ、それからカーナビと現地状況もチラチラ見ながら夫にナビをするという、助手席っぽいお仕事。
しかも時間に余裕がないので、失敗は許されない。
一番アクセスしやすそうなスタンドは、左折レーンが複雑で通り越してしまい、仕方なく次のスタンドへ。
アウトレット渋滞がちょっとあって焦ったけれど、なんとか無事、ガソリンを入れて連絡橋に入ることができた。

レンタカーを返し、夫と連携プレーで子どもと荷物を運び、なんとか出発ゲートにたどり着いた。
お昼ごはんを食べる余裕はなく、空港のコンビニで買って最後は機内で食べるという、ギリギリスケジュールだった。
「やっぱ空港が遠いとあぶないね~」と、夫とふりかえり反省会。

機体はあっという間に離陸し、大阪上空へ。
なじみ深い大阪のランドマーク、世界遺産にも指定された古墳群が見える。

飛行機嫌いの次男は、このところ頻繁に飛行機に乗せているというのに(この一年で8回目の離陸!)、やっぱり飛行機が怖いみたいで、ずっと抱っこ紐の中で不安がっていた。
ちょっとでも次男から注意が逸れると「こわい!こわい!ギューして!」と騒ぎ出すので、親も疲れるのだ。
もう少ししたら年齢的に次男も有料になるし、そうしたらしばらく国内線の飛行機旅はしないだろう(たぶん)。

関空羽田便は、ドリンクサービスが終わるとすぐに降下を始める。
私が窓際席だったので下を見ていると、羽田が近づくといつもは海が見えるルートなのに、なんだか陸地が多い。
「あ、もしかしてこれは羽田新ルートか」と気がついた。
東京都心の地上から見たとき「こんなビルのすぐ上を飛行機が!」とびっくりしたことがある。
確かコロナ禍が始まった頃に運用開始したから、通ったことがなかったのだ。

新宿御苑とおぼしき緑地、特徴的な六本木ヒルズ、そして東京タワーがはっきり見える。
あまりの近さに、「これ何かで急降下したり、部品が落ちたりしたら...」とこちらの気が気でない。
パイロットもめちゃめちゃ神経使うだろうなと思った。
ほんと、事故が起きてからでは遅いのだから、考え直せばいいのに。

レインボーブリッジと海が見えてきて、ようやく「あぁ、何かあってももう海の上だ」と少しホッとする。
機体は順調に降下し、無事羽田空港に着陸した。

羽田に着いたのは午後4時過ぎ。
まだ明るい時間に帰ってくるのはあまりないことだったけれど、荷物を受け取ってリムジンバスに乗ってもまだ夜になっていないので、気持ち的に余裕がある。
翌日からまた学校や仕事が始まるし、子どもたちの体力的にも、「これぐらいの時間に帰れると余裕があっていいね。次からもこれぐらいにしよう」と夫と話した。
子どもがいないときはいつもギリギリまで遊び倒して、終電に間に合えばOKぐらいの最終便に乗っていたけれど、もう若くはないのだ。

今年は航空チケットセールに乗っかって、前半に旅行をしまくった半年だった。
長男もとうとう小学校に入ったし、長期休みはチケットも高いから、残り半年は電車や車で行ける範囲のおでかけになるだろう。

帰ってからしばらくして、長男が「まるくん、大人になったらいっぱい家族をつくりたい。だって、みんなで旅行とかしたら楽しいから」と言っていたのが、地味に嬉しかった。
またひとつ、子どもたちの楽しい経験を作ってあげられたかな。