療養TIME

受診した翌日も熱はなく、咳が時々ひどくなるのを除いては、普通の風邪の治りかけという感じ。
在宅していた夫に家事育児を一任し、入っていた仕事をすべてキャンセルしたのもあって、いきなり自由な時間が降って湧いた。

そんなわけで、見まくった録画(←スマホで見れる)の感想など。

NHK Covers 80年代ラブソングスペシャル(宮本浩次Coccoの回)&去年のクリスマスフェスin大阪】

宮本浩次Coccoはどちらも元々好きなアーティストだけれど、同席しているのは見たことがなかった。
Coccoを見たのは久しぶり。

数年前からメディアで顔出しをしなくなったらしく、その経緯を話したインタビュー(←Coversとは別)によると、「(顔出し等)歌うこと以外の要素が自分には大きなストレスになっていて、克服しようとずっとがんばってきたのだけれど、デビュー25周年となり、25年がんばっても得意にならないことは、もうしなくてもいいのではないか、と思った。人には得意なことと不得意なことがあり、自分はライブやレコーディングなど、得意なことに注力したらいいのではないか、と思って顔出しをやめた」(要約)らしい。
もちろんライブでは顔出しするし、TV等も一切出ないわけではないけれど、出るときは少しでもストレスを減らすため、サングラスをかけたりベールをかぶったりして、何かフィルターをかける、ということのようだった。

素晴らしい、と思った。
メディアを一切拒否するのではなく、要素を丁寧に切り分け、自分にとって何が大切で何は不必要か、慎重にラインを引いた結果なのだということがよく分かった。
それ以上譲ると自分を削ることになる、というラインは、日頃からよく自分を観察しているからこそ、適切なタイミングで修正できるものだ。
とても誠実で、見習いたい姿勢だなと感じた。

そして、宮本浩次
この人はもう、何度かこのブログでも書いているような気がするけれど、とにかく好き。大好き。
本人も言っているように、とにかく歌が好きなんだなというのがひしひし伝わってくる。
本当に気持ち良さそうに歌うし、歌について語るときも毎回気持ちがこもっている。
そういったすべてをひっくるめて「宮本浩次」という他にない存在で、大好きなのだ。

ただ、今回のCoversでの歌は正直もうひとつだった。
いや、上手いは上手いんだけど。もうちょっとのびのび歌ってほしかったというか。
でも、自分のパフォーマンスを後から見て「力み過ぎちゃったな...」と反省してる様子がまた、好感度爆上がりだった。

Coccoの方は、尾崎豊のI love you、とても良かった。
いろんな人がカバーしているけど、これはちゃんとCoccoのバージョン、という感じ。
原曲はどちらかというと翳りがあるけれど、Coccoの歌声だと、十代の若い二人の、可愛らしく微笑ましい恋の歌になっていた。

そして、クリスマスフェスin大阪。
これはもう、ウルフルズが圧倒的に良かった。
昔から大好きなのだけれど、久しぶりに聴いた「ええねん」は、初めて聴いたときの「なんだこの歌はーー(めちゃくちゃいい)!」という衝撃そのまま、今聴いても本当によかったねんだった。
当時の売り出し文句に「ウルフルズの全肯定ソング」というフレーズがあったように記憶しているけれど、その通りで、ニコニコ楽しそうに歌っている姿を見ると「すべてを肯定してもらってる!!」という強くあたたかな気持ちになる。

しかし、この「ええねん」が英語の「エイメン(アーメン)」からの思い付きだったとは、初めて知った(笑)

Coversクリスマスフェスは大阪でのライブだったから、大阪ゆかりの歌としてウルフルズが「河内のオッサンの唄」をカバーしていたのだけれど、これもめちゃくちゃ良かった。
トータス松本によると、子どもの頃、友達の家のお母さんがつけていたラジオからこの歌が流れてきたのだそう。
それがめちゃくちゃ面白くて、笑いをこらえるのに苦労したのだとか。
帰ってからそのレコードが欲しくて、でもタイトルが分からず、いつも行くレコード屋さんで「こんな歌詞で」と歌って説明したら、レコード屋のおじさんが「これちゃうか」と言って見つけてくれたのが「河内のオッサンの唄」だったそうだ。
番組に、その原曲を歌っている歌手からウルフルズにメッセージが届いたのも胸熱だった。
ウルフルズの歌う河内のオッサンの唄、聴いたことある。なかなか良かった。」みたいな、ぶっきらぼうなメール。
ラジオで出会って惚れ込んだ歌のおじさんから、数十年後、大人気歌手となった田舎の元少年にメッセージが届いた、という感動必至のシチュエーションなのに、ぶっきらぼうというのがまたいいのだった。

そんなわけで、ふだんなかなかゆっくり見られなかった録画を堪能した療養中だった。

(写真は、コロナウィルスに見えるけど違う、次男作「タコ」)