北海道旅行記⑦五日目前半 真狩パン、秋のドライブ、焼き魚

秋らしい空気の、快晴の朝。
眠かったけれど早めに起きたのは、ニセコ近辺に来るならやっぱり行きたかった、有名なパン屋さんに行くためだった。

十年ほど前、装丁に惹かれて手に取った中村好文さんの本。
大好きな建築家で、著書を少しずつ集めて読んでいるのだけれど、その中でもとても好きな一冊なのだ。
初めてニセコ・真狩近辺を訪れたときはこのパン屋のことを知らず、その後たまたまこの本を読んで、翌年あたりに初めて訪れたのだった。
パンはもちろんすごくおいしいし、好文さん設計のお店の佇まいが本当にいい。
のどかな周囲の環境も含めて、やっぱり近くに来たら行っておきたい、夫や子どもたちにも食べさせてあげたいなと、早起きして行くことにしたのだった。
朝イチ、9時の開店前に行かないとけっこう待つこともあるというので、この日は平日だったけれど8時過ぎに宿を出て、ブーランジェリージンへと向かった。

これこれ、この看板。
パン職人が窯にパンを入れているこの看板、本当に可愛い。

オープン15分前に到着すると、前に3組だけが並んでいた。
よかった、これならすぐ入れそう。

三台しかない駐車場が埋まっていたので、夫に近くで待機してもらい、私は長男と一緒に車を降りて開店を待つことにした。
せっかくなので、長男にもこのパン屋さんのお店自体を楽しんでほしくて。
待っている間にも店内に焼きたてのパンがどんどん並び始め、薄く開いた窓の隙間からとてつもなくいい匂いが漂ってきた。
「いい匂いだねぇ...」とうっとりする長男と私。

とても小さいお店なので一組ずつ順番に入ることになっているのだけれど、10分ほどですぐに私たちの順番になった。
いろいろ目移りしながら、すぐに食べる焼きたてのチョコクロワッサンを家族人数分と、明日朝に食べるパン、それから明日ちょうど旅行最終日で家にも持って帰れるので、お土産として大きめのパンをいくつか購入。
エコバッグいっぱいにずっしりとパンを入れて、ホクホクしながら車に戻った。

5分ほど車を走らせ、トイレ休憩を兼ねて道の駅へ。
パリパリクロワッサンを動く車内で食べるとえらいことになりそうなので、外のベンチに座り、みんなでしばし激うまクロワッサンをもぐもぐ。
羊蹄山がきれいに見えて、なかなかいい朝ごはんだった。

焼きたてパンを堪能した後は、今日のメインイベント、積丹(しゃこたん)半島へ向けてドライブ開始。
晴れて気持ちがいいので、途中にある景勝地「神仙沼」までは今日も私が運転することにした。

突然現れるダチョウ牧場。と羊蹄山
ここは写真を撮っただけでスルー。

積丹までは、少し遠回りになるけれど「ニセコパノラマライン」という道を通っていくことにした。
紅葉シーズンが有名な道らしく、たぶんあと半月もすれば楽しめたのだけれど、残念ながら紅葉はまだだった。

30分ほど走ったあたりで、景勝地「神仙沼」へ。
駐車場から熊笹の道を25分ほど歩くと、急に開けた景色に出る。
尾瀬みたい。行ったことないけど。

それほど時間をかけるつもりはなかったのだけれど、写真を撮ったり何だかんだしていたら、予想外に時間がかかってしまった。
積丹半島に着いてから適当な店を見つけてお昼を食べるつもりだったのだけれど、たぶん子どもたちがそれまでもたない。
夫に運転を交代し、ちょうど昼時に通る町をGoogleマップで調べ、評価が高かった食堂に入ってみることにした。

焼き魚が有名ということだったので、ホッケ、鮭、ニシンの定食をひとつずつオーダー。
これが、評判通りおいしかった!

夫が頼んだニシンは北海道ならではで珍しかったし、長男が頼んだ鮭は切り身が肉厚でけっこう大きく、鮭にすればよかったー!と私はひそかに後悔。
そして、魚のおいしさもさることながら、白米がめちゃくちゃおいしかった。
ゆめぴりかか、ななつぼしかな?
とにかく白米だけでも丼二杯はイケるおいしさだった(いかないけど)。

昨日行った高橋牧場のソフトクリームが売られていたので食後に食べて、積丹へ向けていざ再出発。
北海道の午後は、お昼を食べたらもう夕方のような日の光。
子どもたちがぐっすり眠る中、積丹半島特有の奇岩が時折現れるのを眺めながら、目的の神威(かむい)岬に向けて海沿いの道を走らせて行った。