北海道旅行記⑤四日目前半 羊蹄山のふもとにて

三日間アクティブに動きすぎたので、四日目の朝はスローなスタート。
...と言うと計画的にゆっくりしたみたいだけれど、実際には大人も子どもも起きられなかった。
本当は早朝に起きて宿周辺を散策する予定だったのだけれど(北海道の秋の空気は最高に気持ちいいし、徒歩圏内にもいろいろお店があるので見ておきたかったのだ)、結局起きたのは9時ぐらい。
まぁ体力が回復しないことには何も楽しめないので、散歩は諦めて、次の予定からスタートすることにした。

今日の予定は「ふきだし公園」という豊かな湧き水のある公園に行くことと、「高橋牧場」という観光施設に行くこと。
どちらも私は何度か行ったことがあって、とても気持ちのいい場所なのだ。

まずは朝の腹ごしらえ。
昨日晩ごはんを少し控えめにしておいたおかげで、四日目の朝にしてようやくお腹が空いた。
道の駅で買っておいたおいしそうな手作りパンと、北海道産の洋梨、プリップリの新鮮卵で作ったスクランブルエッグ、北海道産の牛乳。
高橋牧場でビュッフェ形式のランチをもりもり食べる予定だったので、朝ごはんは控えめにして、いざ出発した。

ニセコの近くには羊蹄山という山があって、別名蝦夷富士と呼ばれるほどきれいな円錐形をしている。
その羊蹄山を囲む形で、ニセコ、真狩(まっかり)、京極、倶知安(くっちゃん)という四つの町がある。
ニセコから羊蹄山をぐるりと回って向こう側、京極にある「ふきだし公園」に、まずは向かったのだった。

山の向こう側と言っても、高いものが周りにない開けた土地なので、ドライブ中ずっとどこからか羊蹄山が見える。
この羊蹄山が私は好きで、たぶん、知っている山の中で一番好きな山だと思う。
360度どこから見ても完璧な形で、しかも天候や時間帯によっても毎回見え方が違う。
天気が悪いと雲がかかってほとんど姿を消してしまう日もあるけれど、この日は絶好の日和だった。

この日の運転は私。
昨日までは移動がメインのドライブだったけれど、この日は急ぐこともないし、前に何度かこのあたりを走ったこともある私が、年に一、二度の運転スキル維持のため、ハンドルを握ることにした。
ちなみに今回のレンタカーはデリカ。
もともとはコンパクトカーで予約していたのだけれど、連休で利用者が多かったのとキャンセルが出たとかで、コンパクトカーより上のランクの車が余っていたよう。
「料金は同じでデリカをご用意してもよろしいですか?」と当日の手続きのときに聞かれて、大型なので一瞬迷ったものの、北海道の広い道だし大丈夫だろうと承諾。
で、実際使ってみたら、とにかく車内が広くて快適だった。
何より荷物が広々置けるのがいい。
いつもコンパクトカーの狭いスペースにパズルのように荷物を積んでいたから、何も考えずにキャリーバッグや手荷物や買ったものをポンポン入れられるのが、けっこうな時間節約にもなった。
日数が多く距離も長い今回、運転していて疲れが少ないデリカにしてもらえたのは結果的に超ラッキー&大正解。
北海道のレンタカーは総じてレベルが高い(←自分比)ような気がするのだけれど、今回のデリカもまだ新しく、バックカメラとオートパイロット機能がついていて、バックカメラは私の車庫入れに、オートパイロットは長距離運転中の夫に大活躍だった。

予定より二時間遅れぐらいで宿を出発。
時折羊蹄山を眺めながら、20分ぐらいで京極のふきだし公園に到着した。

京極は湧水で有名な町で、ミネラルウォーターの産地にもなっている。
ふきだし公園の湧水量だけでも一日8万トンとか。
近隣の飲料水ももちろんまかなっていて、今回の旅の間はずっと、ミネラルウォーターを買わずに水道水をそのまま安心して飲めるのは大助かりだった。

トイレマークが水の精で可愛い。

水辺だけではなく、近くには遊具のある公園や展望台もあって、観光バスも停まれるちょっとした観光スポットになっている。
紅葉にはまだ少し早かったけれど、木々もあって気持ちいい。
あまり見たことのないホオノキの実も。

ここへ来たのはもうひとつ目的があって、それがこれ。

山中牧場というお店のソフトクリーム。
山中牧場自体は少し離れた村にあるのだけれど、そこのソフトクリームが食べられる場所が道内にいくつかあって、そのひとつがここなのだ。

以前、私と同じくらいソフトクリーム好きの友人とこのふきだし公園に来たことがあった。
当時、このお店の前に古~い手書きの看板があり、「おいしくなかったらお金を返金します」と書かれてあった。
それを見たソフトクリーム評論家(自称)の友人と私は思わず顔を見合わせた。
これは、食べないわけにはいかない。
「ほんまやろな?ほんまに言うだけあるんやろな?」と半ば疑いながらソフトクリームを口にした瞬間、私たちの動きが止まった。
「これは...!」
彼女と私のソフトクリームの好みは一致していて、濃厚クリーム系より断然、あっさり派。
山中牧場のソフトクリームは、そのあっさり派でありながら牛乳そのものの味がしっかりして、全会一致(←二人しかいない)で、これまで食べたソフトクリームベスト3入りが即決定したのだった。

ちなみに、私的ベスト3のあと二つはどちらももちろん北海道のもので、一つはこれまたその友人と食べた、アルテピアッツァ美唄という野外美術館にあるカフェのもの。
もう一つは夫と新婚旅行代わりに行った北海道旅で食べた、オホーツクの道の駅さるふつというところのソフトクリーム。
どちらもあっさり系、牛乳の味がしっかりするところは山中牧場と同じだ。
北海道のソフトクリームは総じて本当にレベルが高いのだけれど、そのベストオブベストの一つを夫と子どもたちにぜひ食べさせたくて、ふきだし公園にやってきたのだった。

う~ん、やっぱり、相変わらずおいしい。
ひとくち目の「!!」という感激が、当時と変わらない。
ソフトクリーム好きの夫も「たしかに。これはうまいね...」と静かに頷いていた。

ペロリと食べ終わり、また散策。
何度か来ている私も行ったことのない展望台に、高い所好きの夫がのぼってみたいというので、展望台へ。
階段、なかなかハード...。

てっぺんに着いてさらに坂をのぼると、羊蹄山が見えるスポットも。

長い長い階段をまた降りて、次は遊具のある広場へ。
旅行中であろうが、いつなんどきもすべり台やアスレチックに目がない子どもたちを、しばし放牧。
ほんのひとときだけれど、思う存分身体を動かさせてから、次の目的地へ向かった。