叶えてあげられるうちに

四月、怒涛。

最初の週末は、延ばしに延ばしてもう今日しかないと、学習机を買いにIKEAへ。
いくつか検討したけれど、値段と品質の釣り合いがやはり一番良いのではということでIKEAになった。

長男入学式までの数日、これも延び延びになっていた通学練習を連日。
実際に歩かせてみると分かる危険がたくさんあった。
小1の子どもは「身を守る」イコール「身を隠す」という行動になるんだな、というのが新たな発見。
車が来たら、車に見つからないよう塀に張り付いたり電柱の陰に隠れたりするので、危険極まりない。
行動が小動物みたいだなと思った。

そしていよいよ入学式。
準備不足もあって、朝からバタバタしまくりだった。
入学式は午後からで、その後卒園した幼稚園にランドセルの晴れ姿を見せに行ったりしていたら、あっという間に夕方。
翌日からもう登校が始まるので、早く寝かせないと、とおやつをスキップしようとしたら、猛烈にごねられた。
ちょうど数日前に買った「特別な日にしか食べられないお菓子」を、息子はこの日に食べられると思っていたからだ。

「明日早起きできたら、特別朝にお菓子食べていいから」と言ってなんとか説得し、翌朝めっちゃ早く起きてきた息子が、満を持して食べていたのがこれ。

ねるねるねるね、まだあったんだな(笑)

とは言え、私自身は子どもの頃食べたことがない。
当時も他のお菓子よりは割高で、しかも「遊び食べはよくない」という時代だったから、買ってもらえなかったのだ。

袋に書かれた手順を真剣に読み、丁寧に小袋を開け、慎重な手付きで粉や水を混ぜる息子。
ようやく食べられるところまでたどり着いて、ひとくち食べたときのめちゃくちゃ嬉しそうな顔が忘れられない。
撮っていた動画に、私の堪え切れない忍び笑いが入ってしまった。

以前、ある知人が言っていた言葉を思い出す。
子どもが大きくなればなるほど、親が叶えてあげられない望みも出てくる。
めちゃくちゃお金のかかる海外留学とか、プロサッカー選手になりたいとか。
それを思えば、親が叶えてあげられる望みは、叶えてあげられるうちに叶えてあげたい...と。

本当にそうだな、と思った。
たった200円かそこらでこんなにも満足そうな顔が見られるのなら、ねるねるねるねなんていくらでも買ってあげる。

新一年生の朝に、念願叶って食べたお菓子のこと、息子はいつまで覚えているだろうか。