泣く子はいねがー

入学式から十日余り。
とにもかくにも一週間が過ぎた。 

家の中は毎日工事中のような状態で、学習机が組み立てられたり、椅子が届いたり、夫が作った棚が一部未完成のまま稼働し始めたり、それらに伴って家具の配置替えが行われたり。
学用品や持ち帰りプリントの量、ものの運用の仕方がつかめないので、まずは100均で安い収納グッズを買って、使い勝手を試したりしている。

そんな中、以前から私が欲しい欲しい、絶対必要と言い続けてとうとう手に入れたのがこちら。
靴の洗濯機だ。

長男の幼稚園時代、毎週持ち帰る上履きは、(本当はダメらしいけど)洗濯機で洗っていた。
ただ、外靴はさすがに洗濯機では洗いたくないし、手で洗うのが大変すぎて夫に任せていた。
戸建てでない集合住宅の、地上階でない住まいで靴を洗うのって、場所の問題もあって本当に大変なのだ。
もちろん、外で洗える場合だって靴洗いは大変だ。
しかも次男が幼稚園に上がれば、毎週×二足の上履きに、二人が汚してくる外靴も頻繁に洗わなければならない。
一人分なら迷うところだけれど、二人分の、しかも男の子の靴だ。
さすがに夫に全部任せるのは無理だし、かといって自分でやると靴洗いに膨大な時間をとられるので、いろいろ調べた結果、靴専用の洗濯機を買うのが一番いいという結論に達した。
そして、買うなら子どもの靴を最も洗う学童期までが一番いいと主張しまくって、置き場所も確保し、ようやく購入に至ったのだった。

使い始めて一週間余り。
最初のおもしろさもあって、かなり頻繁に使っている。
排水場所の確保と給水方法を考えた結果、使うときだけ風呂場に移動して使っていて、給水排水はほぼ手動なのだけれど、それでも全然手間が違う。
まず、手が濡れない。
だから手が荒れない。
それから、手洗いより少ない労力で断然きれいになる。
これは食洗機に近い感覚で、手洗いでもきれいになるけれど、疲れ方が違うというか。

すすぎのときなんかは2,3分おきに手動で排水と給水を何度も繰り返すので、つきっきりといえばつきっきりなのだけれど、その3分の間に洗面所掃除もできるし、洗濯物を干しながらやるのも効率的だ。
でも、実はつきっきりがそれほど苦にならなくて、これってなんでだろう、何かに似てるな...と考えていたら思い出した。
二槽式洗濯機だ。

初めて母親から洗濯の仕方を教わったのは、小学校低学年~中学年の頃で、そのときの洗濯機はまだ二槽式だった。
洗い①→脱水①→すすぎ①→脱水をしている間に次の洗い②をセット→脱水が終わった①を干す→以下繰り返し...というあの、今思えばすごい時間をとられるあの、二槽式だ。
でも私は一連のその流れがとても好きで、脱水待ちの間なんかは、隣の洗い槽のフタを開けて水がぐるぐる回るのをずっと見ていた。

靴の洗濯機は、それと似ているのだ。
「中が見える」というのが大きいのかもしれない。
汚れが落ちていくのも、すすぎで泡が少しずつ減っていくのも、しっかり見えるから、つきっきりで作業していても苦にならないし、それどころかすごく達成感がある。
脱水機能はついていないので、普通の洗濯機に移してごく弱い回転で少しだけ脱水し、よく晴れた外に干して、その日のうちに乾く達成感と言ったら。

いつもなんとなく汚れた靴を履かせていた長男が、きれいな靴で登校していくのを見ると、あぁ、汚れた靴を履かせていたのはけっこうなストレス&罪悪感だったんだなぁとしみじみ思った。
もっと早く買えばよかった。

洗ってきれいになるのが楽しくて、「汚れた靴はねがー」となまはげのように靴を募る週末がしばらく続きそう。