ばにお

翌日は、午前中はホテルでゆっくり。
チェックアウト後もプールが利用できるので、夫が子どもたちを連れて小一時間プールへ行き、私はロビーでのんびりアイスコーヒーを飲んで過ごした。

この日はメインイベントが二つあって、一つは熱川バナナワニ園に行くこと。
ワニがたくさんいる動物園で、植物園も併設されている。
聞いたことはあったけど、実際行くのは初めてだった。

ワニ園には確かにワニがゴロゴロいて、近づくとなぜか急に口をパカーッと開けて、ワニらしいポーズをとってくれた。

よく見ると、口は開いているのに喉は閉じられている。

ワニたちは基本的にフェンスだけで囲われていて、つい手を伸ばしそうになるけれど、「ワニは実は非常に機敏なので、絶対に手を出さないでください」という注意書があちこちにあった。
恐ろしい。
けど、そう言われるとどんなに機敏なのかちょっと見てみたくなる。
危険な看板だ。

それにしても、なぜ熱川にワニ園なのか?
調べたら、最初はバナナがメインだったよう。
園内にも周囲にも、あちこちから温泉の湯気が出ていて、その地熱を利用しているとか。

ということは、つまり...暑い。
とにかく園内が蒸し暑い。
深く考えずに行き先に選んでしまったけれど、湿度といい気温といい、わざわざ真夏に行くところではなかった(笑)
気温は東京より低かったと思うけれど、屋根があるとはいえ、半屋外の園内のあちこちに熱帯植物があるので、なんかもう見た目にも暑かった。

そんな中で癒されたのがレッサーパンダ

ここのレッサーパンダは頭数が多くて、しかもどの子も毛並みがふさふさのツヤツヤ。
後で知ったところでは、他の動物園のとは種類が違っていて、このニシレッサーパンダというのは日本でここにしかいないのだそうだ。
この種類だから毛並みがいいのだろうか。
樹上でお昼寝してる子もいて、気持ちよさそ~。

最後のお土産売り場では、熱川バナナワニ園の公式キャラクター「熱川ばにお」のグッズがたくさん売られていた。
ばにおのことは行く前からガイドブック等で知ってはいて、特に可愛いキャラクターだとは思わなかったのだけれど、夫と「ばにおって何やねん」「『ばにお』って(苦笑)」と言い合っているうちに、なぜか名前に愛着が湧いてきてしまった。
「ばにお」って言いたいだけなんだけれど。

そうしたら夫が急にお土産売り場で盛り上がり始め、「ばにおグッズを何か買いたい」と言い出した。
いつもは絶対、こういうコーナーで自分のものは買わない夫なのでびっくり。
えー、と思いつつ、ちょっとおもしろいので何かないかなーと物色し始めたけれど、ちょうどいいグッズがなかなかない。
小さいものだとメモ帳とかマグネットとかはあるものの、実用的でお手頃価格の、ずっと使えるものがほとんど見当たらないのだ。
「手ぬぐいとかあればいいのに」と夫も言っていたけれど、売っている手ぬぐいは普通のワニの柄で、ばにおではない。
「ちょっと!私に商品開発やらせろ~」と言いながら散々探した最後に、分園の売り場(バナナワニ園は二つに分かれていて、それぞれにショップがある)で、私がマグカップを見つけた。
「これは?」と夫に聞いてみると、「お、いいかも。それ本園になかったよね」と夫。
マグカップは家にたくさんあるから、私は可愛いものを見かけてももう買わないようにしているけれど、夫は独身時代からずっと同じカップを使い続けていて、ばにおカップはそれとほぼ同じくらいの容量だった。
「あれももう長く使ってるしな...普段使いはばにおに乗り換えるわ!」ということで、珍しく夫が自分用に買ったマグカップがこちら。

帰って早速翌日から使い始めていた。
毎日ばにおに会えるようになってよかったね。

バナナワニ園を出たのはもうお昼過ぎで、そこから一路、沼津方面へ。
この日の二つ目のイベント、静岡限定ファミレス「さわやか」にハンバーグに食べに行くのだ。
さわやかはいつもごはんどきに行くと待ち人数が多くて入れないので、先に整理券を取って、近くで時間をつぶし、早めの晩ごはんにするという計画なのだった。

朝からプールとワニ園で体力消耗した子どもたちは、車に乗るとものの5分も経たないうちに寝息を立て始めた。
どこかで軽くお昼を食べようかと思っていたけれど、子どもたちはぐっすり寝ているし、朝ごはんもたっぷり食べたので、お昼ごはんはスキップして早めのさわやかに備えることにした。
伊豆半島を斜めに横断するように山道を抜けて沼津にたどり着き、無事整理券をGETして、早めの晩ごはんとなった。

あ~、何年ぶりのさわやか!
ここのハンバーグはビーフ100%でつなぎもなし、下手なステーキとかより美味しいのだ。
子どもメニューもけっこう美味しくて、次男も完食していた。

喉元で後を引く美味しさの余韻に浸りながら、あとは一路、東京へ。
暮れ始めた空に、富士山のシルエットが美しかった。