立川まんがぱーく

小学校が代休の月曜日。
夫が所用で、子どもたちを連れて泊まりがけで実家に行ってくれたので、前々から平日に行ってみたいと思っていた「立川まんがぱーく」へ。
低料金で入れる、まんがの図書館だ。
貸し出しはしていないので、長時間いられる平日を狙っていたのだ。

コロナ前に一度一人で行ったことがあるのだけれど、コロナ禍を経て変わっているところもあったので、子連れでどの程度行けるかのリサーチも兼ねていた。
結果的に言うと、これは家族で再訪決定。
小学生になってまんがを読みたがっている長男だけ連れて行こうかと思っていたのだけれど、夫も気に入りそうなので、家族で来る視点で施設をリサーチした。

貸し出しはしていないものの、古いものから新しいものまで何万冊とまんががあって、子どもから大人まで楽しめる。
建物は元市庁舎を改装したらしく、漫画喫茶よりも明るくて開放的な雰囲気。
何より、子どもがこもってまんがを読める穴ぐらみたいなスペースがあって、長男が来たら絶対楽しいだろうと思った。
中にはちょっとした飲食スペースもあって、300円ぐらいのうどんとかおやつや飲み物もあり、持ち込みも可、お昼を挟んで一日いられる感じ(ただし土日は午前午後の入れ替え制)。
平日は整理券なしで入れるのだけれど、この日はたまたま立川の小学校も代休だったのか子どもがめちゃくちゃ多くて、開館直後に行ったのに危うく入場待ちになるところだった。

開館直後から6時間ぐらいいて、適宜休憩しつつ、そうそう来れないので読み切り物を中心に計8冊を読み耽った。
もともと狙っていたのはWeb連載されていた育児系のまんがで、Web連載は大抵「最終話は単行本で!」となっているので、結末が気になっているものがいくつかあったのだ。

あとは益田ミリのまんがを2冊ぐらいと、たまたま見つけたイトウハジメさんという人の姪っ子育児まんが。
美術講師をしている人らしく、絵がすごく美しい。
作者自身は独身だけれど、三世代同居している実家で姪っ子が生まれ、その可愛さをストーカーのように観察して描いているお話で、かつて同じように甥っ子を猫可愛がっていた私にとっては、「分かる~!」と共感しきりだった。
美大を出た人だけあって、子どもの可愛さの描き方が秀逸で(幼児体型の愛らしさとか、赤ちゃんのミルクくさい感じとか、発音を間違えて覚えてる言葉の可愛さとか)、「そうだったそうだった、子どもってこんなに可愛いんだった!」と、自分の子どもたちを改めて可愛がりたくなるような一冊だった。

あと一番よかったのが、たまたま見つけた『大屋さんと僕』。
お笑いコンビカラテカ矢部太郎が描いた、有名なまんがだ。
前から読んでみたいなと思っていたのだけれど、実際読んでみたら、もう予想の何倍も可愛くてあたたかくて泣けた。
新宿区に暮らす、すごいお嬢様育ちの高齢大家さんと店子の矢部さんとが、全然違う文化に戸惑いながらも、なぜか仲良くなっていく話だ。
ギャグ漫画みたいにすることもできただろうネタを、矢部さんは控えめに、可愛らしく、時にもの悲しく描いていく。
とても品のある作品だなと思った。
まんがぱーくという、周りに人がいる状況にもかかわらず、何度か笑ったり涙ぐんだりしてしまった。
カラテカは相方の人の方しかほとんど知らなくて、相方にはあまりいいイメージがなかったから特に興味は持っていなかったけれど、この矢部さんは、実はすごい才能を秘めた人だったんだなぁと思った。
これが初めての作品だなんて信じられないくらいで、売れて然るべきだし、これからももっともっと作品を作ってほしい。
大家さんと時々新宿伊勢丹に行くとき、特に説明なくタクシーが幻の滑走路を走って飛んでいく描写(理由は読むと分かる)が、この大家さんの生きてきた世界をとてもよく表していて、とても心に残った。

長時間滞在したのでさすがに疲れて、運動がてら20分以上歩いてIKEAへ。

一人でゆっくり店内を見て回り、最後にIKEAレストランで食事をして、また歩いて駅へ。
高島屋にOKストアがオープンしていて、覗いてみたかったけれど、そろそろ夫や子どもたちも帰る時間なのでまっすぐ家路を急いだ。

よく遊び、よく歩いた初冬の一日。