包丁事始め

長男5歳の誕生日プレゼントとして、姉にリクエストしたのは「子ども包丁」。
そろそろ料理を教えていきたくて、以前から少しずつ探していた。
セラミック製かステンレス製か、伝統的なお店のものも良さそうだし、食洗機に入れられるのも便利そう...といろいろ迷った挙げ句、夫の一票もあって安定の燕三条製に決定した。

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届いてみれば思ったより小さすぎず、大人の女性でも使えそう。
比べてみたら、私が長年使っている一番小さい包丁と、刃渡りも持ち手もほとんど変わらない長さだった。
料理しているとき、包丁が足りなくなったら普通に使えそうだ。

幼稚園が休みの週末に練習をすることにして、その前に「教え方」を予習。
というか、自分の包丁の使い方が果たして完全に正しいのかもいざとなると自信がない。
今は便利な動画があるので、いくつかの動画で「絶対押さえておかなければいけないポイント」と「人によって違うポイント」をなんとなく押さえてから、いざ、息子へのレクチャーが始まった。

まずは息子にも動画を見せ、包丁を持たせる前に、押さえの左手(いわゆる猫の手)と、手を切らないための包丁の動かし方を予習させる。
いろんな角度から見た図解とかもあって、ネットは本当に便利。

動画や図解で予習した後、ようやくまな板と包丁を出しての実技となった。
最初に選んでおいた食材は、キュウリ。
これは以前に読んですごくおもしろかった『ダメ女たちの人生を変えた奇跡の料理教室』で、包丁初心者への食材としてズッキーニが選ばれていたことに倣った。
ただし、コロコロ転がると危ないので予め縦半分に切って、まな板上で安定するようにしておいた。

予習の甲斐あって、長男は押さえの左手も包丁の持ち方もスムーズにクリア。
時々猫の手の指先が伸びてしまって注意されたりはしたものの、初めてにしては上出来で、無事指も切らず二本のキュウリを切りきった。
「まるくん、ちょっとつかれたからきょうはこれでおわりにする」と自分で区切りもつけて、初めての包丁レッスンは終了。

息子も疲れたけれど、教える方も相当疲れるものだなと思った。
普段自分が無意識にやっていることを、5歳の子どもに通じる言葉遣いで説明するというのもなかなかの難しさだし、危ないときに「あぶないっ!」とか急に言ってしまうと余計に危ないので、ハッと息を呑みつつ「ストップ」と素早く手を出して、「今の、危なかったよ。こうなってたよ」などと注意するのもかなり神経を遣う。
終わったときには、自分でキュウリ10本薄切りしたぐらい疲れていた。

その後も、包丁を持つことが「特別」にならなければいいなと、ちょっとしたときに「バナナ切る?」とか声がけをするようにしている。
ただ、親の余裕があるときでないとできないから、その余裕を作り出すのが一番難しいのだった。

自分が初めて包丁を持ったのっていつだろう?と考えていて、たぶんあれかなぁと思い出した。
包丁というより、最初は果物ナイフだったのだ。
たぶん、母が子どもに包丁を持たせるのが怖かったのだろう。
そこまで切れ味のよくない、小さなナイフでの練習だった。
それはいいとしても、最初にやらされたのがリンゴの皮剥き。
それも、丸ごとのリンゴを渦巻き状に剥いていくやつだ。
今親の立場になって思うと「なんでそれから始めた??」と謎しかないけれど、手を切った記憶もないから、きっとかなり大きくなってから(小学校高学年ぐらい?)だったのだろう。
その後どうやって包丁を普通に使うようになったのかは、全然覚えていない。

息子たちには、小学校高学年頃には、お昼を自分で作れる程度の料理をできるようになってほしいと思っている。
お米を炊くのはもちろん、カレーやお味噌汁、目玉焼き、玉子焼き、野菜炒め、程度はその頃に作れるようになっていてほしい。
何より、台所に立つことが特別でないことになってほしい。
それは、自分が親にしてほしかった(けどしてもらっていない)ことのひとつだ。

5歳の誕生日にもらった包丁、ずっと先まで愛用してくれますように。