片道10分の幸せ

長男がこの秋から習い事を始めた。

習い事と言っても遊びの延長で、教育的なものというよりは、趣味的なもの。
たまたま近所で見つけて、月謝も安く入会金もなかったので、ためしに何かやってみようか、というカジュアルな感じで、毎週幼稚園帰りに通うことになったのだった。

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幼稚園バスから長男が降りてきたら、家には戻らずそのまま教室へ向かう。
いつもはおやつの時間だけれど、教室が終わってからだと遅くなってしまうので、その日だけは歩きながら食べられる何かを持ってバス停に迎えに行く。
ポッキーとか、ハイチュウとか、ラムネとか、その時々で違うおやつをうれしそうに食べる長男と、次男を乗せたベビーカーをゴロゴロ押しながら歩く。
次男もお散歩が楽しいようで、いつもごきげんに声を出しながら乗せられて行くのだった。

長男を送り届けたら、ほんの30分ほどだけれどいったん家に帰り、その時々によって夕飯の準備をしたり、ホッとひと息コーヒーを淹れたり。
時間になったらまた次男をベビーカーに乗せてゴロゴロ迎えに行き、うれしそうに今日やったことを報告する長男と、夕方の空を見ながら帰る。

送り迎えのその道々が、私の好きな時間になった。

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これから冬至に向かって日はどんどん短くなり、クリスマスが近づくにつれ家々にイルミネーションが灯るだろう。
もうひと月もしたら行き帰りに手袋やマフラーや耳当てが必要になって、帰ったらきっとあたたかいココアを一緒に飲むだろう。
年が明けて寒さの底がやって来て、しばらくしたら凍てついた空気の中に春の気配が含まれてきて、まもなく空気が緩むのを感じるだろう。

そういうことのひとつひとつを、息子たちと一緒に感じられる今の日々は、まちがいなく私の人生で最も幸福な時間になる。