北の国からプリン

北海道によく行っていた頃、ずっと立ち寄りたかったプリンのお店がある。
富良野にある可愛い小屋で作られるそのプリンは、器まるごと売られているのが特徴で、旅の間に食べ切るとなると大人数か旅の日数が多いときしか無理なので、機会が相当限られる。
本州から取り寄せると送料がかなり高くつくのと、やっぱり現地に行ってその可愛い小屋を見てみたかったのとで、結局ずっと機会をうかがったまま、今に至っていた。

そうこうするうち、今年の秋頃、土鍋の原料となる石が高騰して手に入りにくくなるというニュースがあった。
ペタライトというその石は、電気自動車の電池の需要が増えて、買い占められつつあるらしい。
その影響で北海道のプリン屋さんの器も変更になると聞いて、これはもう取り寄せなさいということだなと、意を決して発注の電話をかけたのだった。

数ヶ月待ちになることもあるというプリンは、運良くキャンセルが出たとかで、一ヶ月早まってクリスマス前に届いた。
寒い寒い北の国から、はるばる東京の我が家へ。

「これはプリンというか、ケーキだからね。大事に食べるように」と子どもたちに言い聞かせ、うやうやしく切り分ける。
届いてから3日ぐらい食べられるので、日に日に少しずつ濃厚になっていくプリンを、毎日少しずつ楽しんだ。

食べ終わった器はきれいに洗って、よく乾かしておく。
外は素焼きだけれど、中は釉薬がかかっていて、直火で調理もできる優れものなのだ。

うちにあるケーキの型は四角いパウンド型で、丸い型のお菓子のレシピのとき、いつも分量の加減にちょっと困る。
たまたまなのか、参照するレシピは直径18~20cm程度のものが多くて、このプリンの器はちょうどそれぐらい。
プリンを食べたあと、これからはそういうお菓子を作れるようにしたいのも目的のひとつだったから、器が変わってしまう前に取り寄せられてホッとした。

クリスマスに間に合ったので、さっそく作ってみたかったお菓子を作ったのだけれど、それはまたあらためて。